これが本稿で叫びたいことのすべてだが,順を追って帰結しよう。
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東京ゲームショウ2026(TGS 2026)で,エディアの新作「SUPERやのまんCOLLECTION」(PC / PS5 / PS4 / Nintendo Switch)を試遊した。
本作は,株式会社「やのまん」のスーパーファミコン(以下,SFC)向けタイトル3本をまとめた商品で,現地ではそのうちの1作「フェーダ The Emblem of Justice」のみが試遊出展されていた。
この時点で補足が必要だろうから,まず解説していこう。
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やのまんは,1954年に創立された矢野満商店から続く老舗メーカーだ。古くからジグソーパズルなどのアナログゲーム開発・販売を生業としているが,1990年代にはテレビゲームにも参入していた。
ある種,花札から世界に羽ばたいていった任天堂と近しい出自である。ただ,やのまんは1990年代中にゲーム事業から撤退している。
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本作の収録タイトルは,歌とRPGの融合に挑んだ「ソングマスター」。士郎正宗氏と協力したマルチ主人公アクション「トリネア」。
そして,リベラエンブレムシステム(善悪の秩序の変数機能)を売りとしたSRPG「フェーダ The Emblem of Justice」の3作となる。
商品の通常版・特装版の初回生産限定特典には,同社の幻のゲーム「ペンタドラゴン」(GB版)が遊べるコードも封入される。
このほか同社タイトルには,ゲームボーイ向けRPG「アレサ」シリーズなどもある。個人的には,レースゲームと町破壊要素を組み合わせた「ランナバウト」で,友だちと大盛り上がりした記憶がある。
それでは本題の「フェ〜ダ〜 フェ〜ダ〜〜……」に入ろう。
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「フェ〜ダ〜 フェ〜ダ〜〜……」とは,1994年10月28日に発売された初代フェーダのTVCMソングの歌詞である。正しい歌唱は覚えていないし,なんなら映像もいっさい覚えていないが,ひたすら「フェ〜ダ〜……」とアンニュイに歌われていたあの歌が,今でも忘れられない。
なぜなら,もう一度書いておこう。
私は小学生のころにフェーダと出会い,SRPGとはなんなのかを教えてもらった。ときに熱中し,ときに飽きて,その結果。
ファイアーエムブレムを知らなかった俺は小学生時代,「フェーダ」がずっとSRPGの王道定番ファンタジー作品だと信じて疑わなかった。
これまで同僚やゲーム関係者と雑談しているとき,SRPGの話になると,私は「はじめてやったSRPGはフェーダです」と言ってきたくらいだ。しかし,これが伝わった相手はただの1人も存在しなかった。
なお,厳密なSRPG初体験は「スーパーロボット大戦EX」の可能性が高いが,FE的な戦略シムはフェーダが初めてだったろうし……などと言い訳が山のように出てくるため,いったんゲーム説明に逃げる。
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フェーダは,盤面上のユニットを敵味方が(怪しい感じの)交互で動かして攻防していくSRPGだ。キャラクターのレベルや装備を管理しながら,ストーリーとバトルを順にこなしてゲームクリアを目指す。
舞台背景は,千年戦争によって帝国に支配された大陸で,弾圧に不満を募らせた解放軍や亜人民族との抗争が勃発した時代。
主人公の帝国軍兵士「ブライアン・ステルバート」は,悪逆な帝国に反旗を翻し,同僚の狼獣人「アイン」と狐獣人「ドーラ」とともに解放軍に加わる。そして大陸解放戦争は戦火を激化させていく――。
といった感じだ。追放系というか反逆系である。
システムの特徴は,先述した善悪の秩序パラメータの推移によって,加入する仲間やエンディングなどに変化が起こる,リベラエンブレムシステムだ。こちらはLAW(秩序)やCHAOS(混沌)などの値が,バトル中の選択などで変化していく。往時の名作RPGをやっていた者なら,これらのワードだけでなんとなく意味合いをつかめるだろう。
そして,ここで白状するが,私はゲーム内容をほとんど覚えていない。あらすじも今調べた。あるのは断片的で強烈な記憶だけである。私以上のフェーダファンには申し訳ないが,その旨,ご了承いただきたい。
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まずSRPGのバトルとしては,ユニットを移動させ,反撃なしの一方的な攻撃で,(たしか)乱数なしの固定値を一手ずつぶつけ合っていく。計算式は攻撃−防御くらいシンプルで,残りHP計算もできたはず。
そう思って実機で確認したら,たぶんそうだった。しかもBGMを聞いたら一瞬で思い出した。「ぼーぼーぼぼぼーぼーぼーぼーほぼっぼー」のリズムだ。倒したモンスターも思い出どおり爆発して破裂する。
それと(これもたしか)与えたダメージ値がそのまま経験値になるんだったかの記憶があり,瀕死の敵に特大ダメージの必殺技をぶち込むと,オーバーキルでも経験値が増した,気がする。信憑性は低い。
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あと,先に書いた“怪しいターン制”が実に怪しい。本作のバトルは「敵味方が10体ずつなら,味方が1体動かし,敵が1体動き,交互に操作して全員動かしたらターンリセット」的な感じだ。
すべての駒を動かし終わらないと,同じ駒の2回目の行動ができない将棋,とでも言うべき代物。しかも人数比が崩れると,味方・味方・敵・味方・味方といった変則的な複数ターン制になっていく。
事実,試遊では初戦闘が味方3体vs.敵5体で,「味方・敵・敵・味方・敵・敵・味方・敵」で手番が進んで驚いた。このゲーム,初っぱなのバトルで「こーゆー感じです。へへっ」とばかりにゲームデザインを適切に伝えていたのだ。これにより,盾役やザコをオトリに差し出して,主戦力を後詰めとするといった戦術も生まれる。これはAI調べの言だが。
小学生だった自分がこの戦術にたどり着いたかは,覚えていない。
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本作は「主人公ブライアンか相棒アインがHP0になったら,即ゲームオーバー」となる。これはジャンルを問わず,ときおり見るシステムで,「指揮官相当が敗れればそりゃ全滅と同義だ」と考えるとある意味リアルである。けれど小学生時代の私には厳しいルールだった。
アメリカンなマッスル味が強い見た目のブライアンも,日本刀スタイルでモッフモフな狼獣人のアインも,どちらも強力なユニットで,一騎当千させやすいくらいには強い。明らかに強かった気がする。
バトルアニメーションは記憶に相違なくちゃんとしていて,絶妙なBGMと合わせて独特の手応えを伝えてくる。ブライアンが大剣を,アインが刀を振るうときのモーションはすごくカッコいい。
しかし,彼らに甘えると死だ。敵に囲まれてボコられて即ゲームオーバーとなる。そのため,味方ユニットの重用が必須となる。
といっても,ゲーム全体の難度はそれほど高くなかった気がする。ただし「ストーリー以外のサブミッション」が少ない一本道構成のため,稼ぎどころが少なく,経験値配分を間違えると詰むというか,面倒になって投げやすい。私は小学生のころ2回ほど投げては,再挑戦した。
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ブライアンとアイン以外は戦場で倒れても「捕虜収容所」に送られるだけだ。バトル後に収容所を襲撃し,そこで勝てば救出できる。これにより,味方ユニットは気軽に命を散らせるものの,柔らかめなユニットは毎回収容所に送られ,毎回襲撃しては取り返す必要がある。
この流れは,ドロケイあるいはケイドロで鬼から仲間を解放するときの感覚に近い。敵の警備兵もいっさい強化されない最弱ユニットのままで,しかも経験値をもらえなかったはずだ。そのうち本当にダルい作業になっていく。だからツッカエなユニットが捕虜になったときは,面倒だしと一生収容されたままにしていた気もする。確証はないが。
やられたらロストも当たり前なSRPG界隈では,捕虜にしてもらえるだけ温情ではあるし,タダでは返さない戒めとしても機能している。だが,中盤くらいからほんとにダルい。それが当時の私の素直な感想だ。
おかげで当時の私は,低耐久力で狐成分が多めな女性獣人ドーラや,ペガサス的な飛行系の槍持ち美女(ティータって名前だった気がする。調べたら当たってた!)などの女性ユニットを毛嫌いし,パワフルでマッチョで汗臭そうな主人公ブライアンやおっさんを好んだ。
おぞましい情操教育だ。男児への冒涜か? 憤りさえ覚える。
というか,前線の兵が死力を尽くして捕らえた敵英雄を,貧弱な下級兵に見張らせては毎回奪われる帝国の体制は,どうかしている。
まあ,こうしたシステムだけ取っても,フェーダは“王道の定番SRPGとは一風変わった仕組み”をいろいろと採用していた。
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すこし触れたが,ユニット面は多種多様な亜人たちが主流だ。下半身が鳥やケンタウロスやグリフォンの弓兵や魔法兵だの,トカゲや竜神,ロボットまで現れる。実にファンタジーでSFな顔ぶれだった。
多くの味方は,ブライアンとアインと比べると明らかにステータス全般が劣る。だが,飛行の機動力や弓による遠距離射撃など,SRPGらしい編成の醍醐味がある。これは本当にどのキャラクターかは記憶にないが,一撃で数十マスくらい爆撃するえげつない最強キャラもいたはずだ。
そして私は,この味わい深いシステムとバランスと,バリエーション豊かな種族を備えたフェーダが,SRPG界の王道で定番だと思い込んだ。それこそ誰でも知っているレベルで考えていた。中学生くらいまで。
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正直に言おう。私は本当にこのころ,ファイアーエムブレムがSRPG界のスタンダード的な存在だと知らなかった。ゲーム情報はゲーム屋さんや友人との口コミ,小学生向け雑誌でしか得ていなかったせいだ。
その結果,後年になってファイアーエムブレムの存在感が強いことを知るも,私は「フェーダを知れば,SRPGを知るに足る」くらいに考えた。この意固地さを保持して,本物の王道路線には進まなかった。
そして私はフェーダの物語のごとく,帝国(FE)に対して反旗を翻す“FEリスペクトな作品群”に歩み寄り,失礼ながら亜流側のSRPG人生を歩んだ。フェーダは,私のゲーム人生の進路をねじ曲げたのだ。
まあ,語弊はある。本当の理由は「フェーダは中古で500円くらいで買えても,ファイアーエムブレムが数千円した」ことである。フェーダも発売日に新品では買っていない。中古落ち後の出会いだ。
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フェーダの話から遠ざかりまくるが,私の人生初のFE作品は「ファイアーエムブレム 風花雪月」だった。そこで意識が塗り替わった。TGS初日に発売された最新作には遺憾の意を表明したいが閑話休題。
風花雪月は理想的なSRPG体験だった。私はフェーダのように寄り道がなく,限られた成長機会を一本道で配分しながらクリアを目指すSRPGが苦手だ。違う。もっと内心に迫ると,1戦闘で稼ぎプレイができないSRPGが苦手だ。ゆえに風花雪月でも,1戦闘で敵の9.9割を無力化しきったあと,錆びた武器で殴り合い,適度に回復し,1戦で職をマスターして,序盤の数戦後にドラゴンナイトを並べる,みたいなプレイを好んだ。
これはスパロボでもジージェネでもそうだ。SFCなら「フロントミッション」で延々と時間を使い,防御連打でAgility経験値を稼ぎ,数戦で鬼硬いキャラクターを錬成していた。次世代機でも「ファイナルファンタジータクティクス」で同じことをしていた。
SRPGの個人的な理想型は,FFTか風花雪月の二択だ。断言できる。
一方で,こうした稼ぎができない,あるいはできたのかもしれないが,小学生の私にそれを気付かせなかったフェーダには,今でも心理的なプレッシャーを感じる。嫌いなシステムとすら言える。ゆえに1997年発売の「フェーダ2」もやる気が起きず,買わなかった。
そうしたSRPG嗜好が浮き彫りになっていくうちに,私は徐々に気付いていった。まさか,もしやとは思うが,フェーダは王道の定番ファンタジーSRPGの決定版ではないのではないか? と。世の王道SRPGは,変なターン制も,捕虜収容所を毎回襲いにいくこともないのではないかと。
あのころの私は,あえてフェーダという作品を推すことで,「俺ってば変わってるんだよねwww」などと口にすること自体が目的になっていたのではないかと。しかもだ。フェーダは私を傷つけた。
私は小中学生時代,いろんな種族のファンタジーなキャラクターが出てくるSRPGの始祖はフェーダだと,吹聴しまくっていた。フェーダしか知らなかったから。これはもうフェーダのせいだ。フェーダとさえ出会わなければ,こんなにも傷だらけの失態を抱えることはなかった。
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もはやおすすめのタイトル紹介というより,エディアから物言いを受ける可能性すらあるが,最後にクソデカ感情をまとめ上げよう。
私はけっこうフェーダが好きで,ブライアンの立ち絵が変わる二部的な進行度まで何回も到達しているが,一度も全クリしたことはない。なので彼らが最後にどうなるのか,そのエンディングを知らない。
ゲームシステムはかなり苦手だった。だが,ゲームの好き嫌いが多かった私にフェーダは,SRPG嗜好を気付かせてくれた存在でもある。彼は“私にとって理想的なSRPG体験”を教える,人生のガイドになった。
それに,今では苦いピーマンも食べられるようになった。一本道SRPGを制限下の最適解で進める挑戦を,自然と楽しめる人間になった。
フェーダもまた,今やると違う見え方がするのかもしれない。当時は見つけられなかったエグい稼ぎ方も見つけられるかもしれない。
なんならAIに聞いたところ,リベラエンブレムシステムによる「敵全滅クリア」や「敵を1体も倒さずクリア」などのミッションを駆使すると,漫然と戦闘するよりも経験値の見返りがあるらしい。ここを意識すると,ブライアンたちの筋肉も簡単にビルドアップできるようである。
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私はフェーダのことを約30年,その名もTVCMの歌も「えーっと,あれってなんだっけ?」というお悩みタイムがいっさいなしで,秒で思い出しては口ずさめる人生を歩んできた。たぶんAIよりも返答が早い。
しかし,一番おもしろかったゲームなどとは口が裂けても言わない。ゲーム内容を詳しく覚えてないうえ,クリアすらしたことないのだ。しかもゲームシステムが苦手で,美女よりもおっさんを好ませた罪も重い。なのにフェーダの存在は,この脳に深く刻まれてしまっている。
こんなふうに評されたところで,購買意欲をそそられる人はいないと分かっている。だから本稿の本当の目的を,最後に打ち明けよう。私はこの記事を書き上げたおかげで,きっとこの先の人生で。
「はじめてやったSRPGはフェーダです」
「あー,あれですかー,捕虜のあれ!」
なんて,相づちを打ってもらえるようになるのだ。


















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