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膝,前に出しすぎていませんか? 「鉄拳」「ソウルキャリバー」のモーションディレクターと中国武術家が壇上に並び,格闘アクションを実演で解き明かす[CEDEC 2026]
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印刷2026/07/28 17:40

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膝,前に出しすぎていませんか? 「鉄拳」「ソウルキャリバー」のモーションディレクターと中国武術家が壇上に並び,格闘アクションを実演で解き明かす[CEDEC 2026]

 格闘アクションゲームで攻撃のポーズに力強さを出そうとするとき,前傾姿勢を深くして前足の膝を前へ突き出す。攻撃方向への力を強調する,ごく自然な発想だ。
 ところが,そうやって作ったポーズは「窮屈で力強さが足りない」と言われることがある。誇張がまだ足りないのか? それとも,誇張する前の土台のほうに問題があるのか?

 その問いに真正面から答えたのが,CEDEC 2026で行われた講演「連続攻撃アクションと多人数格闘アクションのアニメーションデザインレシピ 〜中国武術実演をそえて〜」だ。
 登壇したのは,ナムコ(現・バンダイナムコスタジオ)で「鉄拳」「ソウルキャリバー」シリーズ初期のゲームデザインとモーションディレクションを兼任し,その経験から3D多人数格闘アクションゲーム「アーバンレイン」を立ち上げた石黒正隆氏。そして中国留学中の7年間,山東濱州少林派燕青門七代目伝人・郭会破氏に師事し,香港国際武術節の八極拳部門で準優勝,刀術部門でも第4位に入った武術家の佐藤太一氏である。

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 石黒氏は業務用大型筐体を用いた「デッドストームパイレーツ」「STAR WARS:BATTLE POD」の製品コンセプト開発にも携わり,Aiming台湾スタジオ在籍時には企画とモーションの人材育成やモーション監修,大学講師などに従事してきた。
 一方の佐藤氏は上海体育学院運動科学科を卒業後,師の勧めもあって帰国後に武術道場「燕武館」を開いた。現在は自身のYouTubeチャンネルで格闘ゲーム「鉄拳」シリーズをプレイヤーとして楽しむ様子を配信するかたわら,武術家の目線からキャラクター動作の美しさや醜さを解説する動画を投稿している。

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 講演の冒頭で石黒氏は,派手に跳んだり回転したりする動作の制作技法を紹介する内容ではないと断った。扱うのは,人型キャラクターの「格好良い動作の流れ」を表現するために役立つリアルな身体操作のポイントと,それを格闘アクションのアニメーション表現に応用するコツだ。


リアルという土台の上に,外連味を乗せる


 最初に石黒氏が提示したのは「アニメーションデザインコンセプト」という枠組みだ。プロジェクトにおいてゲームのコンセプトをユーザー体験として実現するために,どのようなアニメーションデザインをするか。それを明確に定義したものを指す。
 石黒氏によれば,これは3層のレイヤー構造として捉えられる。土台に物理法則や解剖学,運動学に基づく「リアル」があり,その上にキャラクターらしさを表現する「演技」が乗り,さらに誇張演出の程度を決める「外連味(けれんみ)」が乗る。

アニメーションデザインコンセプトのレイヤー構造。リアルの上に演技,その上に外連味が積み上がる
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 重要なことは,リアルと外連味のどちらを重視するかはプロジェクトごとに変わるものであり,そこに優劣はないという点だ。「うちはリアル寄りですよ」「うちは外連味増し増しですよ」というコンセプトに合った表現をしていけばいい。
 そのうえで石黒氏は,講演のスタンスを2点に整理した。リアルを押さえれば,アニメーションデザインコンセプトに合わせた外連味表現がしやすくなること。そして体の使い方や力の流れを意識できれば,リファレンスの理解度と制作時の再現度が上がり,動作の発想力や構成力,説得力,説明力も高まることだ。

 前提として共有されたのが,運動学の基礎的な考え方である。動作は準備局面・主要局面・終末局面から成り立っており,これらがスムーズに移行することを「局面融合」という。石黒氏は,普通に投げてきた相手が最後だけ一回転背負い投げになったら「そのエネルギーはどこから出たのか」と違和感が生じる,と局面バランスの重要性を説明した。
 もう一つは「運動連鎖」だ。地面を蹴る床反力と重心の並進運動で生み出した力を,各関節の回転運動によって下半身から上半身,腕,手へと連鎖的に伝えて強くしていく流れを指す。

運動連鎖。床反力と重心の並進運動で生んだ力を,関節の回転で連鎖的に伝えていく
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 運動連鎖について,あえて崩す表現もあると石黒氏は言う。腰や足を大きく動かし,肩甲骨も動かしたあとに最後に手が出るという順序は,確かに大げさに見える。しかし,実際にやると力が伝わっていないことがすぐ分かる。
 先に手を動かし,その手の慣性と後ろ足で地面を蹴った力を同時に到達させることで,軸の偏心運動にほかの質量があとからついてくる。「これは十数フレームの短いパンチでも違いが表現できるところ」だと指摘した。

 ここから佐藤氏の実演が始まる。石黒氏が示した実演解説のキーワードは3つ。地面との摩擦抵抗と四肢の慣性回収からなる「質量の射出と反作用」,重心の逸脱と落下を利用する「不安定」,そして拮抗筋の弛緩による「瞬発的剛性」である。

実演を読み解くためのキーワード
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 最初の実演は八極拳の川掌(せんしょう)。踏み込み足と同側の掌で直線的に中段を打ち抜き,馬歩の半身に至る技だ。ボクシングのワンツーに近い。
 佐藤氏はこれをゆっくり分解しながら,右足を遠くへ放り投げるように出し,同時に左手も遠くへ出すこと,そしてその2つの質量を回収しようとするときに反対方向へ腰が回ることを示した。加えて,抜重によって不安定になり落ちる体重を相手に伝えること,軸足の継ぎ足によってようやく力が全部伝わること,脊椎の伸展・屈曲と肩甲骨の開閉が加わることを挙げていく。

八極拳の川掌。踏み込み足と同側の掌で中段を打ち抜く
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 続く連撃の実演では,一つひとつの動作が次の動作の準備を兼ねている点が強調された。相手の打撃や構えを崩し,胸を開いて左手で跳ね上げつつ,右肘を引いて右足の荷重を抜く。そのまま右足と重心を前方に落として震脚しながら,意識が上に浮いた相手の肋骨を打ち抜く。落とす力と回転する力のすべてが,次の動きの準備になっている構造だ。

連撃の身体操作。各動作が次の動作の準備を兼ねる形で連なっている
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 ここで石黒氏は,フォロースルーで半身になるという現象に触れた。ゲームではインパクトの瞬間にエフェクトを出す作りが多いが,実際には打ち抜いたあとのフォロースルーで半身になる。
 「漫画などの決めポーズは,止めのコマで衝撃とフォロースルーの両方を表現し,なおかつ勢いを表現している」と分析したうえで,「私も半身でヒットのところを作っていたんですけどね」と自らの制作経験を持ち出して笑いを誘った。

 そして提示されたのが,「もったいない! 極端すぎる外連味表現」である。歩幅を大きくし,膝を前に出し,頭も前に出せばダイナミックに見えるだろう,という発想で作った動作は,重心が真ん中のままで真下に落ち,落ちたあとに手が出る形になりがちだ。
 これでは手を伸ばすだけの力しか相手に伝わらない。踏み込んだあとにインパクトが来ると,踏み込んだ意味がなくなってしまう。インパクトの瞬間にはまだ抜重しており,下に落ちながら相手に当たる形になっていると格好良く見える,というのが石黒氏の指摘だ。

極端すぎる外連味表現の例。前傾姿勢=力強いというイメージに囚われすぎている
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このパートを石黒氏は,5つの問いとして整理した
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「前へ前へ」を疑う――膝と武器の事例研究


 ここから講演は具体的な事例研究に入る。最初の題材が,冒頭に挙げた膝の問題だ。攻撃のポーズが窮屈で力強さが足りないと言われる。思い切り前傾姿勢にして,攻撃方向への力を強調しているのに――。

前足の膝が足首より前に出すぎると,前足の関節に負荷が掛かりすぎてポーズはむしろ窮屈になる
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 石黒氏は自身が格闘ゲームを作っていた時代を振り返り,「やっぱり,みんな前に前に前に行くんですよ。じゃあ,もっと強力な攻撃のときは,もっと前に出すのかというと,出ないよと」と述べた。そこで,佐藤氏の指摘が発想を反転させる。
 膝が前に出ているのではなく,足が後ろに下がっている。前傾する上半身から腰が後ろに残っている。だから身体の重さを十分に使えていない,というのだ。膝をひたすら前へ出すのではなく,むしろ抑えめにして足のほうを前に出す。そうすれば全身が連動して,不安定の力を使えるようになる。

 もっとも,膝が前に出ること自体が悪いわけではない。大きな袈裟斬りや回転横斬りのフォロースルー時のように膝を慣性と逆方向へ向ける場合や,落下からの着地時の斬り下ろし,次の足が出る前提のポーズなどでは,膝が足より前に出ても動作的な違和感はない。

膝が足より前に出ても違和感がない例。フォロースルーや着地など,理由があれば成立する
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 次の事例は,長い武器である。長い武器を大きく振り回しているのに「軽い」と言われる,という悩みだ。スライドでは,この悩みを持つアニメーターが「Iさん」として登場する。
 攻撃の軌跡が大きい=派手で強い攻撃というイメージから,棒の先端の軌跡を大きくするためにブーンと大きく振り回してみた,というのがIさんの弁である。

棒を大きく振り回す4コマ
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 これに対する佐藤氏の答えは明快だった。重い物を振るなら,まず自分の軸の近くに重心を持ってこないと始まらない。脊椎と肩甲骨を緩めつつ,軸に武器の重心を近づけ,右足で地面を押しながら左手が大きく弧を描き始める。一気に右手と右腰を支点にかち上げつつ,脊椎の伸展および回旋と肩甲骨の下方回旋によって左手を左腰へ向けて巻き込む。この形が最もヘッドスピードが乗る。

長い武器のリアルな身体操作。軸に重心を近づけてから,脊椎と肩甲骨の動きで加速させる
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 重い武器を大きく振り下ろす攻撃についても,佐藤氏は3つのパターンを示した。中国武術の仆歩のように前足を伸ばす体勢で斬り下ろす「仆歩式(ぼくほしき)」,両足を前後ではなく左右に開いたスタンスで斬り下ろす「十字式(じゅうじしき)」,そして逆足で腰が高い姿勢から斬り下ろし,両腕を前へ投げ出すか引き戻す「ピッチング式」である。
 佐藤氏によれば,最も全力で地面まで振れるのは仆歩式だ。十字式は抵抗感がなく,威力が出そうに思えるが,前に足がないことから人間の心理として無意識にブレーキをかけてしまい,かえって威力を出しにくい。そもそも前方の敵を斬るために地面へダメージを与える必要はないのだから,本能的にはピッチング式になりやすいのかもしれないと付け加えた。

 こうした事例を踏まえて石黒氏が整理した,連続攻撃動作の悩みとその原因も示唆的だ。「一撃一撃のキレや威力を意識して作っているのに,動作がカクカクしてぎこちない」という悩みには,各動作が都合よく突然始まり,突然終わっていないか,慣性はどうか,という問いが返される。
 「360度回転斬りや蹴りを速く続けないと地味と言われそうで不安」という悩みには,スピードを抑えて一見地味な足捌きなど「動作そのもので魅せる」意識で構成してみては,という提案が示された。速すぎる動作はよく分からず,かえって印象が薄いというわけだ。
 そして,「攻撃ポーズがネタ被りしてキャラクター個性の差別化が曖昧」という悩みには,差別化にこだわりすぎではないか,本当のヒットのポーズは大体似ているのであって,終末局面(フォロースルー)こそキャラクター個性をアピールしやすい,という指摘が返された。

連続攻撃動作の悩みに対する原因の分析と提案
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 連続攻撃のサンプルとして実演されたのは,苗刀(みょうとう)と蹴りを組み合わせた連続攻撃だ。斜め上から斬り下ろす劈刀(へきとう),下から斬り上げる撩刀(りょうとう),後ろ回し蹴り,そして斬り払う掃刀(そうとう)と続く。石黒氏がテーマを出し,佐藤氏がそれを武術の技として組み立てたものである。

苗刀と蹴りによる連続攻撃。1撃目から順に劈刀,撩刀,蹴り,掃刀と示されている
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 石黒氏が注目したのは,一つひとつの動作に意味があるという点だ。3撃目の後ろ回し蹴りについても,佐藤氏は上段の蹴りをスウェーでかわした相手の足を斬りたいから,抜重して下段を斬るのだと説明した。

 このパートで印象的だったのは,剣先の向きをめぐる議論だ。石黒氏は「斬ったあとに剣先を上げたくなるのが,アニメーターの心理」と切り出す。武術の感覚では,落下しながら斬る以上,剣先を上げるのは不自然だ。
 しかし,佐藤氏は「落ちながら斬る」のではなく,「落ちながら斬り上げる」と考えれば自然な動きになると説明する。無理に途中で軌道を変えるのではなく,一連の動きとしてつながっていれば,「意味はないが,格好良く見える」アニメーションとして成立するという。この結論は,数日前のリモートリハーサルを経てまとまったものだという。

剣先の向きをめぐる事例研究。どこまで誇張するかは,プロジェクトのアニメーションデザインコンセプト次第と結論づけられた
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 スライドには佐藤氏の言葉として「僕も外連味マシマシの非現実的なカッコイイモーション、むしろ大好きですよ!」と記されている。それを受けた石黒氏のまとめが,講演全体の主張を端的に表している。
 リアルへの意識を頭の片隅に置いておけば,既視感のある記号的な連続動作やポーズではなく,自然な身体操作の流れと外連味のメリハリを喧嘩させずに,より良く昇華する表現が見つけられそうだ,というものだ。


要素分解でリファレンスを組み替え,1対多に緩急をつける


 講演の後半は,格闘アクションの構成をどう発想するかに移る。石黒氏と佐藤氏は,1対1の格闘アクション攻防を実演した。上段フェイントからの左中段前蹴り,それを左手で右へ捌く防御,斜め前に足を下ろしての大振りの右フック,上半身を反らせたスウェー回避,回避から反撃の右上段ストレートまでの攻防である。

 この実演をリファレンスと見立てて,石黒氏は「要素分解」という手法を提示する。格闘アクションシーンの構成要素を書き出し,それぞれの選択肢を並べて眺めることで,リファレンスの構成を考察したり,一部を変更したり,新たに発想したりしやすくなるという考え方だ。
 攻撃手段は打撃か掴みか投げか。打撃ならどういう打撃か。それに対する防御は受けるのか,捌くのか,弾くのか,避けるのか。

実演リファレンスを攻撃防御手段で要素分解したもの。攻守の入れ替わりまで含めて可視化されている
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 石黒氏は「皆さんも頭の中で無意識のうちに選択しているはずです。それをわざわざ書き出しているだけ」で,これを特別な手法ではないと強調した。攻撃方向や使用部位,狙う部位で分解し直せば,上段ばかり蹴っていないか,中段ばかり攻撃していないか,下段を混ぜたほうがいいのではないか,といったチェックもできる。

 そして実際に,実演した構成の一部が組み替えられた。最後の技を中国武術風の体術に変え,相手を制したあとに追い撃ちの当身を入れたい――そう決めてから,そこにつながるように手前の動作を変更していく。
 石黒氏の右フックからの裏拳を佐藤氏が左手で受け,そのまま足払いで倒し,倒れたところへ蹴りを入れる形だ。石黒氏は「最初から頭を変えて最後に倒そうではなく,最後に倒したいというのを先に決めて,そこに繋がるにはどこを変えようと考える」と,発想の順序を説明した。

リファレンスの構成変更例。変更したい箇所を起点に,手前の動作を調整していく
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 もう一つの変更例は,最後に石黒氏が反撃して締める構成だ。最後に反撃して締めたいなら,その前にこちらが追い込まれておくとメリハリがつく,という構成上のポイントも同時に示された。

 最後のテーマは,1対多の格闘アクション展開の緩急である。石黒氏は派手な回転攻撃ではなく,攻撃側の一見地味な体捌きと,相手のやられ挙動の制御によって乱戦の戦闘リズムに緩急をつける方法を紹介した。
 相手の裏に回る足捌きは,間合いを詰めることで相手からは隙だらけになり,掴んでも刈り足を入れてもよいという状況を作る。位置関係が変われば,普段は正面の相手に出す攻撃ではなく,裏拳や別の技を自然な流れで繰り出せるため,技のバリエーションも出せる。

 相手を手で掴んで制する「ヒューマンシールド」も,やられ側の制御によって緩急を作る手法として挙げられた。リーダー格を捕まえれば,ほかの敵が下がったり,逆に殺到したりと,大勢の挙動まで巻き込んで変化を作れる。
 武器を持っていれば,それを奪うディスアーム,奪った武器で急所攻撃につなげれば,倒し方にも緩急がつく。蹴りを受けた状態から相手を回してすくい投げをすれば,転がっていった相手が別の敵の前に立ちはだかり,攻撃しようとしていた敵を制することもできる。

ヒューマンシールド。相手を盾にするだけでなく,武器を奪い,ほかの敵の行動まで制限する
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 石黒氏は,複数人に取り囲まれた乱戦の話題にも触れた。正面の最も近い敵をオートターゲティングで攻撃するシンプルなシステムでは,連撃で後退した敵を追撃したいのに別の敵を攻撃してしまったり,連撃中に背後から攻撃されてモヤモヤしたりする。
 かといって露骨に順番待ちで襲ってこられると,それは1対多ではなく,1対1が「多」になっただけではないか。そうした課題に対し,正面という条件を緩めて最も危険な敵に振り向いて攻撃させる,あるいはボタンでロックしたまま特定の敵を攻撃させる,といった対処の方向性が示された。

 ここで時間切れとなり,石黒氏は「本当にすみません」と繰り返しながら講演のまとめに入った。
 個々のネタ被りは当たり前の時代であり,気にしてもしょうがない。ただし,安易に模倣するのではなく,プロジェクトのコンセプトをユーザー体験として実現するためのバトルアクションデザインとアニメーション表現に合わせて,組み合わせたり,注意して選択したりしてほしい。石黒氏は「皆さんが開発したオリジナルレシピのアニメーション表現で,見る人たちを魅了してください」と呼びかけた。

講演を締めくくったスライド。リアルという出汁をベースに,創作で味付けし,外連味のスパイスで個性を主張する
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