その名は「STAGE:0」ならびに「全日本高校eスポーツ選手権」。これらは野球でいったら甲子園,サッカーでいったら冬の国立であり,つまるところ,今どきの学生eスポーツにはそうした目標になる大会がある。
ということは,その頂きを目指す子たちもいるわけで。日本各地には,まるで部活のように「リーグ・オブ・レジェンド」(以下,LoL)や「VALORANT」を学んでいる学生層がいるのである。
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私は長年LoLに触れてきたこともあり,プロの競技シーンだけではなく高校生大会も観戦している。
そこからプロに羽ばたく選手がいることを考えると,世界戦を追う身としては学生大会も見ておきたいチェック対象なのだ。
ただ,観戦を楽しみつつも,正直ピンときていない部分があった。私の学生時代は,今ほどeスポーツが流行していなかったため,学校でゲームを学ぶ雰囲気というのが世代的につかみづらいのである。
そもそも“eスポーツを学べる高校”の実態だって知らない。高校生時点でそれを学びにいくということは,全員プロ志望なのか?
今どきはゲームも立派なお習い事? 「LoL」を“eスポーツスクール”でコーチングしてもらってきた体験記
たまに耳にする“eスポーツスクール”って,なにやってんだろ? 内実が気になったので,「リーグ・オブ・レジェンド」12年選手が,「AFRAS」でコーチングしてもらってきた。ゲームもお習い事になった新時代をのぞき見よう。
といった疑問を胸中に秘めつつ,以前はゲームを習い事として学ぶ“eスポーツスクール”に足を運んだが,今回は本命に踏み込んだ。
eスポーツを学べる高校での学校生活。それはどんなものなのか。
今回は,各種大会での実績があり,LoLの日本リーグ「LJL」にプロ選手も輩出している,通信制高校「ルネサンス高等学校」(以下,ルネ高)の池袋キャンパスで,“eスポーツコース”を取材してきた。
池袋の繁華街,サンシャイン通りを目前にした学舎。そこにはどんな生徒が集まり,講師たちはなにを教え,1日がどんな風に流れていくのか。1日密着して見えてきたのは,想像していなかった意外な光景。
ルネ高におけるゲームは,通学のための1つの手段になっていた。
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“ゲームをするため”に通学してもらう
通信制だからこそ,外に出る習慣作りを
前提として,ルネ高は“通信制高等学校”である。
日々の学習は登校ではなく,手持ちのPCやスマートフォンでの動画学習で完結でき,課題も自分のペースで提出できる。
それ以外は,茨城県・愛知県・大阪府にある各本校へ,毎年最短で年6日スクーリングに参加し,テスト(単位認定試験)を受け,必要な単位数を修得することが必須の卒業条件だ。
このように,基本の通信コースでは最低限の登校を求められるが,これとは別に,全国のキャンパスなどへ任意で通学する「オプションコース」も用意されている。こちらは高校卒業の必須要件ではなく,生徒の興味やペースに合わせて自由に追加できる仕組みで,今回取材させてもらったeスポーツコースもそのひとつだ。
同コースでは,通常の通信教育課程に加えて「週2回の通学」があり,生徒たちは教室で顔を突き合わせて,LoLやVALORANTのほか,「フォートナイト」や「ストリートファイター6」など,規定のタイトルをまるで部活のようにプレイし,技術や戦略を学んでいく。
普通高校の1日ほど密度は高くなく,決まったタイミングで顔を合わせる,ゆるいつながり。実態としてもそれこそ部活に近しい。
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まず,eスポーツコースなる文字を目にした読者の多くは,きっと取材前の私と同じ所感を持っていることだろう。
それは,同コースがプロゲーマーになるための場所だの,進学・就職の展望はどうなのかうんぬんだの,そういった考え方だ。しかし,取材直後の出会い頭で驚かされたのは,こうした前提の捉え方だった。
ルネ高(はもとより,おそらく類似施策を展開する高校)では,こうした取り組みはeスポーツのプロ養成所などの見方以前に,通信制ではカバーしづらい“外に出る習慣”を形成するためにあるという。
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通信制では現実問題として,学校卒業後に「就職・進学したはいいけれど,外出の習慣がなくてつらい」といった理由から,新生活の一歩で躓きがちな子が少なくないという。そうしたドロップアウトを防ぐために,生徒に朝から夕方まで教室で過ごさせるのが,そもそもの目的だ。
なにより,実社会においては外に出る習慣がないと“詰み”に直結しかねない。通信制の在学中ないし卒業後の課題解決の手段としては,どういう理由であれ自発的に動けるならよいのではと思える。
といった解説の仕方だと「貴様はどの目線で語っているんだい?」という感想を持たれそうだが,少なくとも私はゲームライター専門学校で,感慨深い実態を目にしたことがある。取材に同行した編集者もまた,高校を半年で退学した実体験をもって下から目線で称賛していた。
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カスタムゲームと感想戦。LoLクラスの1日に密着
それでは,LoLクラスの1日に迫っていこう。
ルネ高のeスポーツコースは原則,1年生から3年生まで同じ教室で,いっしょくたになってゲームをプレイする。呼び合う名前も本名ではなく,ゲームで使用するプレイヤー名だ(いわゆるハンドルネーム)。
この時点でもう,不思議な学び舎の空気を感じられるはず。
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教室内では年齢差は関係なしに,ほぼ全員がくだけた口調でおしゃべりしていた。思春期の学生らの腹の内など,今の私には見当もつかないが,パッと見はすごく仲がよさそうである。
講義中も空き時間も,グループでつるんではガヤガヤと。ひとりで過ごしたい人はひとりで黙々と。学校の教室らしさがある人間模様のコントラストのなかに,雰囲気の悪さは感じない。
ただし,この日は新年度になって初の講義日とあり,数名の新入生らが自己紹介から始まる学生生活に踏み出していた。
新しい環境の匂い。フランクな先輩たちとの距離感。それを眺める我々部外者まで存在するせいで,例年よりも居心地の悪さを与えてしまったであろうことは,この場であらためて謝罪しておく。
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さて,本題の講義については以下のとおりだ。
・生徒10人で組んで,ひたすらカスタム戦
・人数的に混ざれない人は,別枠でノーマル戦
・午前は10時10分〜12時20分(1時間×2コマ)
・お昼休みは1時間
・午後は13時20分〜14時20分で1コマ
・14時30分〜15時30分はレクリエーション(開講日の特例)
端的に,1日あたり約3時間,チームゲームの練習が繰り返される。フロア内にはクラスごとの専門コーチもおり,学生らを見守りながら細かな知識を授けたり,新たな知見のための課題を与えたりしていく。
なお,ソロランク戦は「家でやる」として,チームランク戦も平日は参加可能時間が限られていたり,講義時間内に収めるのが難しかったりで,大会期間中でもなければ学友同士でのマッチに終始するという。
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この場にいる生徒たちは,各々で目標が異なる。高校生大会の優勝を目指す人もいれば,その先のプロを目指す人もいるし,将来的にeスポーツ業界に関わりたい人,都心に出てみたかっただけの人,とりあえず通信制を選んだだけの人,完全な初心者までさまざま。十人十色だ。
eスポーツコース内でのタイトル選択も気軽に変更できるそうで,なかにはほかの全タイトルを渡り歩き,LoLにたどり着いた人もいる。
ゆえに,全員が「目指せ全国優勝!」といった“ガチ”な競技志向を持っているわけではないため,講義の空気もカジュアル寄り。そもそも個々人の私用アカウントを使うので,レートにもバラつきがあり,チームバランスを完璧に整えたうえでのチーム練習も難しいのだとか。
ツールを介したVC(ボイスチャット)も,若さあふれる荒めなやり取りがチラホラ。見ている側としてはときおり,「このあとギスギスしちゃったりするんじゃない……?」と内心ヒヤヒヤした。
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しかし,そんな心配も杞憂に終わる。
マッチ終了後,生徒たちは思い思いに立ち上がり,ほかの生徒に近寄ってはリプレイを再生させ,「ここはこうだったなあ」「このプレイ見て! これヤバい!」と,和気あいあいな感想戦に突入する。会話内容も初心者のそれではない。“やってるプレイヤー”のそれである。
ゲーム中はひたすら奇襲を仕掛け,倒し続けた相手とも,試合が終われば顔を突き合わせて普通に話す。彼らにとってはきっと,それが日常茶飯事なのだろう。なんとなく「いい光景だな」と思える。
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コーチ陣は,感想戦中の生徒たちにスーッと近寄り,いろいろとフィードバックを返していく。それぞれのレートや目標が異なるため,指導内容はケースバイケース。プロ志望の生徒には「ゲーム中に口を動かせないとプロにはなれないよ」と,強めの指摘を入れる場面もあった。
言われた生徒は,midレーナーの高校2年生。現3年生の主力陣の卒業後は,池袋キャンパス代表になる予定。
LoLのチームゲームでは,声を出して連携を取ることが必要不可欠だからこそ,コミュニケーション関連の指導は徹底している。
ほかにも,生徒のなかにはソロランクでマスターに到達している猛者もいた。そういう生徒は大会の場でさらに活躍できるよう,チームゲームにより特化したチャンピオンが勧められる。いろいろな可能性を模索しながら,チームを形作っていく姿勢が見て取れた。
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コーチはタイトルごとに数名在籍しているが,この日はかつてLJLで活躍したチーム「7th heaven」に所属していた,NessCycless氏が勤務していた。氏は一身上の都合で選手を引退したが,以降はルネ高などいくつかの通信制高校で長年,LoLのコーチを続けてきたという。
人柄としては,鬼コーチというより“ゲームがうまい優しい兄ちゃん”といったところ。生徒らも気軽に呼びつけては,いろいろと尋ねていく。講義外でもSNSなどを通じて質問が飛んでくるそうだ。「いつ聞いてもすぐ答えてくれるからありがたいです」とは生徒の談である。
私が「自分より高レートな生徒を教えるとき,困りませんか?」などと少々いじわるな質問を投げかけても,「むしろ価値観が共有しやすくて,教えやすいから助かりますね」と,笑顔で返答。
DetonatioN FocusMe Academyで活躍している教え子,Ravvy選手について懐かしそうに語る顔も,真摯で印象的であった。
そんな氏は現在,STAGE:0に向けて,生徒にチームを組ませ,他校に連絡してはスクリム(練習試合)の約束を取り付けている。
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?? 一問一答インタビュー | DetonatioN FocusMe Academy 所属・Ravvy(@agw2491) 選手 ?
— LJL(League of Legends Japan League) (@Official_LJL) April 25, 2026
小学生の頃から描いた夢を叶え、プロの舞台へ?
新進気鋭のミッドレーナー・Ravvy の素顔に迫る一問一答!?#LJL2026 #LJL2026WINTER pic.twitter.com/fufG9h5ons
にぎやかな午前の講義が終わり,お昼休みが始まると,生徒らは思い思いの休憩を取り始めた。昼食はお弁当を持参している生徒もいるが,コンビニ袋を引っさげている人たちが多数派な模様。
なんとなく気になったので,「こんな物価の高そうな池袋のど真ん中で,お昼ご飯はなにを食べることが多いんですか?」と尋ねてみたが,今どきのお値段では近くの牛丼チェーン店あたりが本命らしい。
このご時世,お店で食べるのは大人でも高いもんねぇ……。
※編注:近所住みの身としては,講師もテイクアウトしていたが,校舎からものすごく近いバーガーキングのアプリ&クーポン注文が,おもに男子生徒には最強クラスのお手ごろ昼食なのではと提案しておきます
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LoLクラス以外にも目を向けると,とくにルネ中等部(フリースクール)の中学生男子らが大はしゃぎだった。なんなら騒がしいくらいであり,私にも元気に応対してくれる。
意外と言うのもなんだが,少々驚きではあった。
個人的に,通信制かつeスポーツの組み合わせと聞くと,どちらかといえば内向的な生徒が集まる,空間としても静かなところを予想していた。けれども,実情はどこにでもある小中高の雰囲気とさして変わらない。その騒ぎの中心にいた人物も,なかなか印象深かった。
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上記写真でみんなの中心にいる生徒……ではなく「講師」は,昨年までeスポーツコースに通っていて,今年ルネ高に就職したという。
私が思わず生徒と見間違ってしまった気さくな人気者は,このフロアにいる大半の生徒たちにとっては顔なじみの先達だったわけだ。
この日は,何人かの生徒に「通学以外の時間の使い方」も尋ねていた。聞いた範囲では,バイトをしたり,家の手伝いをしたりと,日々の過ごし方はいろいろだったが,おもしろかったのが「在学中の生徒に,講師になってもらう,ルネ高の名物アルバイト」の話である。
上記の講師も,在学中はアルバイトで講師をしていたという。LoLクラスのなかにも,この日の講義終わりの夜間クラスで講師を務めているという男子がいた。同校ではこうしたかたちで就業経験,もしくは生徒間のコミュニケーション機会を提供しているようである。
また,近年では講師バイトが高じて「同校の講師に就職」「タイトルのコーチになる」といった人材サイクルも回り出した。
eスポーツ界隈のコーチとなると,分かりやすいのはプロゲーマーのセカンドキャリアだが,(失礼ではあるものの)選手として優秀な人が,講師としても優秀とは限らない。その点,“生徒たちの気持ちが分かる,元生徒の講師”は,メンターとしても代えがたい人材であろう。
世の中の教職や塾講師もよく,専門科目の実力よりも「子どもに好かれる能力のほうがうらやましい」と口にしているようだから,彼もまた周囲の講師方にうらやまれているかもしれない。
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昼休みのあとも,各クラスで午後の講義が進んでいく。午前は2コマかけてゲームをプレイしていたが,午後は1コマだけ。
見ていて思ったのは,現代のゲームは教材として意外と効率化されていないのかも,ということだった。私はこれまで,講義でゲームを使うときは「プレイさせさえすれば,反復練習や意見交換につながる教材」になると考えていたが,現場の実態はそうでもない。
例えば国数英などの五教科なら,「講義を始めます→教科書を開いてください」の2ステップで始められる。一方,ゲームかつチームプレイの場合,PCを起動させ,ゲームクライアントやコミュニケーション手段を立ち上げ,ゲーム内外で参加者を組分けするなどの準備が必要だ。
そのため,体育などの実技教科のように準備:実習の割合が5:5になりがちで,事前段階でモタつくとそれだけ効率性も落ちてしまう。
この点は以前取材したeスポーツスクールでも思ったが,教材としての良しあしではなく,いかに準備方法を詰めていくかというノウハウの話だろう。ここをガッチガチに固めれば,プロチームばりの能率を見込めそうである。まあ,そんな雰囲気はぜんぜん似合わぬ場だが。
午後のゲームを終えると,最後に英語やプログラミングなど,その日ごとの教養講義が1コマ設けられている。
しかし,この日は新1年生が初めて合流した開講日のため,フロア内ではボードゲームを使ったレクリエーションが行われることに。先輩らが主導してゲームを選び,複数グループに分かれて遊んでいく。
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レクリエーションも済むと,本日の講義も終わり。教室は18時ごろまでは開放されているようで,突発でゲーム大会も始まっていた。
いいなあこういうの,などと見つめつつ,今回は生徒へのインタビューの時間も作ってもらったため,ルネ高生の本音にも迫ってみた。
あなたはどうして通信へ?
代表の生徒にお話を聞いてみる
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4Gamer:
1日の講義,お疲れさまでした。
まず,お名前を聞いてもいいですか。
いちみるさん:
いちみると言います! よろしくお願いします!
4Gamer:
いちみるさん。よろしくお願いします。
そういえば,この学校ではお互い本名で呼び合わないんですね。
いちみるさん:
eクラ(eスポーツコースのクラスの略称)の特徴みたいなものですね。私がほかのクラスに居たときはそんなことなかったので。
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4Gamer:
となると,いちみるさんは最初はeクラではなかった?
いちみるさん:
最初は普通の通学コースでした。
でも,女子の先輩に「女の子は少ないけど,先生たち優しいからLoLのクラスにおいでよ」って誘われて入ったんですよ。
4Gamer:
なるほど。
そもそもの話,進学先をルネ高にした理由はなんだったのでしょう。
いちみるさん:
東京に出てみたくて(笑)。
選択肢はいろいろあったんですけど,通信制の場合は通学の機会がまったくないところはイヤだったのと,ルネ高はオープンキャンパスの雰囲気がよかったので,ここを選びました。
4Gamer:
ちなみにご出身は。
いちみるさん:
栃木です! 毎回3時間くらいかけて通ってます。
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4Gamer:
それはまた,見習いたいバイタリティ……。
親御さんからは,とくになにも言われずでしたか?
いちみるさん:
いえ,最初はマジで反対されました(笑)。場所が遠いし,女の子だから不安だしって大反対でしたよ。
そこをどうにか頼んで,親の連絡にはすぐに返すこと,通学費は自分で半額払うこと,って条件で通わせてもらうことになったんです。
4Gamer:
半額,というとどれくらいの額に?
いちみるさん:
回数券なんですけど,だいたい5000円くらいしますね。
4Gamer:
学生には痛い出費ですね。
そうした条件がありつつ,実際に通ってみてどうでしたか。
いちみるさん:
そうですねえ。
私もともと家でゲームをするほうだったんですけど,ルネ高に来てから一緒にゲームをする友だちも増えましたし,上を目指してがんばっている人も周りにいるので,自分もがんばろうって思えましたね。
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4Gamer:
いちみるさんの現在の目標はなんでしょう。
いちみるさん:
「STAGE:0」に出たい。勝ちたいです。
1年生と2年生のときも出場はしたんですけど,そのころはもうぜんぜん勝てなくて。今年は最後だし,がんばりたいなって。
4Gamer:
応援しています。
ではもっと長期的な,今後の進路はどうでしょう。
いちみるさん:
今のところは進学したいなーって思ってます。個人的にゲーム配信とかもしてるので,そういう方向性もいろいろ学べたらなって。
でも,そういうのだけで食べていけるかってちょっと心配じゃないですか? それで私,eスポーツを支える裏方にも興味があって,ルネ高でもこれまでイベントのお手伝いとかさせてもらってきたんですけど,それがすごく楽しくて。今は業界ビジネスの全般に興味があります。
4Gamer:
そのなかに,プロゲーマーは含まれておらず?
いちみるさん:
ですね。そういう道はもともと無理かなって思ってましたし。私,人と話すのが好きなので,それを生かせる仕事に就きたいなって,
4Gamer:
卒業まであと1年ありますが,3年間の学生生活はどうでしたか。
いちみるさん:
楽しかったです! 今のところ後悔はないです!
あっ,でも今年って女の子の後輩がひとりもいなくて,そこがちょっと寂しかったりはしますね……(笑)。
4Gamer:
(笑)。
じゃあ今度は,いちみるさんがいつかの先輩にならないとですね。
いちみるさん:
そうですね。絶対に増やそうと思います(笑)!
「いい光景だった」――
私には説ききれないが,それでも
ルネ高の1日に寄り添ってみて,思った。
「楽しそうだなあ! いいなあ!」
と。これが今回取材してみての偽らざる気持ちである。
俺も大人数で集まってLoLしたかった。超楽しそうだった。
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取材前の想定では正直なところ,「高校生時点でeスポーツの道を目指す人たちが集まる,ガッチガチな場所」と思い込んでいた。
だが,決してそうではなかった。
この場の本分はあくまでも通信制高校であり,eスポーツはそのオプション。専門学校の類いともまた違う形態であることから,時間の流れ方も独特で,同行編集も「昔通ってた定時制高校に似てた」と評した。
もちろん,プロゲーマーを目指して門をたたく生徒はいる。学生大会のために腕を磨き,学友と交流しながら,プロ経験のあるコーチに教えてもらうという環境。これ自体もプロへの道を舗装しているのは確かだ。
ただ,実態としては,プロゲーマーを目指すための場所と断じるべきではなく,そういう道を目指す“ことも”できる場所というほうが正確であった。各種高校に専門に大学,場所が違えば空気も違うだろうから一概には言えないが,ルネ高ではいちみるさんのようにeスポーツの裏方などに興味を持っている人もいれば,深い考えを持たず,ただ学友とゲームをできる週2日を楽しんでいる人も混ざっている。
目的は人それぞれ。それでいてみな,ゲームに学びを見いだした。
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こうなると「じゃあ,高校の3年間をゲームに割り振る意義とは?」などと,ゲームライターという道楽職(あくまで私個人の自認です)を選んだ者らしからぬ,社会的な疑問も頭に浮かんでくる。
もちろん「通信制を選ぶのは善か悪か」などと二元論に落とし込むつもりはない。けれど,通信制かつゲーム専攻ということで,普通高校とはまた違う,社会へのアプローチの難しさは生まれるはず。
美容師などの実業にひも付いた専門学校・コースと比べても,卒業生の9割がその道に(とりあえず)進めるといったルートも存在しない。今のゲーム業界にはそこまで受けが広い大皿などないのだ。
こうした将来への不安は,生徒たちだけでなく,彼らの保護者も進学の前後,どころか子どもの在学中も頭によぎらせてしまうに違いない。
そのうえで確かなことは……数十名もの高校生が集まり,笑いながらゲームを通じて学んでいける“今”のすばらしさだ。
私自身,この現場を見られて「よかったな」と感じた。何度も書いてきたが,とにかく楽しそうなのだ。そこだけは間違いない。
なにより,今どきは普通高校や名門高校を卒業しようが,未来の保証など誰しもが持ちづらい時代。問題を陳腐化させるつもりはないが,そもそも池袋キャンパスのeスポーツコース長からして,考え方はこうだ。
「eスポーツコースに通ったからといって,ゲームを続ける必要はないんです。プロを目指すのであれば,それは全力で応援します。ですが極論,卒業後にパッタリとやめてしまってもいい。まったく別の道に行ってしまってもいい。世の中の人たちの大半は,年齢や環境を契機にそれまで続けていたこと,学んで培ってきたこととは,まるで別の道を進む転機があるものです。うちの子たちはただ,それがゲームなのかもしれないだけ。生徒たちの人生にいつか,そういう変化のタイミングがあったとき,この場での思い出を,次に進むための糧にしてもらえるだけで本望です」
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eスポーツを学んだからといって,ゲームを続ける必要はない。それをもったいなく思う気持ちはあっても,固執する必要はない。ゲームはいつだってやめてもいいし,いつだって再開してもいい。
何度も書いてきたが,ルネ高におけるeスポーツコースは,まるで部活だ。だから部活的な捉え方でいい。高校で野球やサッカーに励み,進学後や就職後は趣味にしたり,いつの間にか辞めてしまったりと同じ。この場の生徒たちにとってのゲームも,それと同じこと。世の中には「昔は〜〜やってたんですよね」なんて言う人,ごまんといるのだ。
eスポーツコースという名の看板は,その字面から第一印象が決めつけられがちなせいで,我々もすぐに極端な結論に走る。しかし,今を生きる生徒たちにとっては部活でいい。「ゲームは好きですけど,講義でゲームやってると,かったるくて飽きてくるんですよww」と笑って話してくれた男子がいたように,今のひとときの付き合いだけでもいい。
昨今は普通高校にeスポーツ部があるように,ルネ高のeスポーツコースもそれとはちょっと違う付き合い方をしているだけ。日々を楽しむも,全国を目指すも,そこの姿勢やら志やらも当人らの気の持ちよう次第。ゲームとeスポーツの語を過度に重く捉えて,外からプロだの意義だのと理由をこじつけて,納得しやすく分かりやすい答えを欲しがっているのは,常に我ら大人のほうでしかないのだ。
なかには「将来,大人になったときにねえ――」から始まる構文を口にしたくなった人もいるだろうが,青春時代を駆ける少年少女が聞くことはないだろう。そんな説教をできるのは,子ども時代にそう言われ,それらを聞き流さずにきっちりと守ったことで,良き人生を歩めている実感がある人くらいのもの。あなたはそうだっただろうか? この説教をカマせる権利を持つ人は,きっと数えられるくらいしかいないだろうに。
ゲームの代わりに勉学や実業経験を積めたかもしれない,なんていう機会損失も言っても詮なきこと。無駄なくRTAじみた生き方で成功した人もたくさんいるだろうが,それは世の中の全員じゃない。ここでの経験が無駄になると決めつける必要もない。いつかの将来,「まさかあのときの経験が役に立つなんて」と再会するのも,人生の醍醐味の1つだ。
もちろん,親御さんであれば助言も心配もして当然だし,私も説き伏せるつもりはまったくない。けれども,少なくとも,eスポーツを学ぶ学生=プロ志望と見るのは私の色眼鏡だったし,思い込みがすぎた。
そう。彼らはここでただ,人とゲームに触れる学校生活を通じて,どこにでもある青春を謳歌していた――などと,キレイにまとめるのは感動ポルノじみているだろうか。
ただ,とてもいい光景を見られたことは,今一度,書き記しておく。
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ルネ高・池袋キャンパスは今夏「STAGE:0」に出場予定。地域ブロック予選を突破すれば,2026年7月12日配信のセミファイナルに進出できる。
もしも配信で見かけたとき,「おっ,これがあの」と思ってもらえたなら,この記事のかいもあったというもの。彼らが全国へと挑戦する姿を見られるのかどうなのか,今からとても楽しみだ。
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