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Steamデータで潜在ユーザーと「本当の競合」を見つける。ローンチ前に勝率を上げるデータドリブン戦略をレポート[NDC26]
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印刷2026/06/18 16:44

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Steamデータで潜在ユーザーと「本当の競合」を見つける。ローンチ前に勝率を上げるデータドリブン戦略をレポート[NDC26]

 NEXON Koreaのカンファレンスイベント「Nexon Developers Conference 26(NDC26)」で,ネクソンコリア シューター事業部 シューターサービスチームのソ・スンギ氏による講演が行われた。
 氏は同事業部でグローバルサービスと分析を担当し,3年間で8本のグローバルプロジェクトをSteamで立ち上げ/準備する中で,名前も年齢も分からないグローバルユーザーをどう理解するかに取り組んできた。
 そこで着目したのが,最大級のユーザーベースを持ち,CCU・レビュー・プレイ時間など多様なデータを公開しているSteamである。

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 冒頭,ソ氏はクイズを出した。Steamでレビューのあるゲームは約15万本。そのうち発売初月に10件以上のレビューを得て推奨率50%未満だったゲームが3,000本ある。では,後に推奨率70%超(Mostly Positive)まで完全に挽回できたのは何本か。
 答えはわずか50本,1.6%だ。
 「ローンチ後に私たちにできることは,実はほとんどない。だから今日は,ローンチ“前”に潜在ユーザーを見つけ,狙い撃ちし,勝率を少しでも上げる方法を話したい」。

 第1部のテーマは「ローンチ後では遅い」。第一印象はローンチ直後に固まる。発売1年のうちレビューの57%は初月,38%は7か月目までに投稿される。
 5万1000本を比較すると,30日時点と現在の推奨率の中央値の変化はわずか3.6ポイントで,上がったゲームより下がったゲームが2倍以上だった。「一度ついた第一印象は,海に水を数杯足しても塩辛さが変わらないのと同じ」。

 だが救いはある。発売前に評価を占える材料がSteam Playtestのレビューだ。
 PCCU1万超でPlaytestを実施したゲームを比較すると,Playtestの推奨率とローンチ初月の推奨率の相関係数は0.77。「模試と本番の関係のように,テスト期の評価はほぼそのまま持ち越される」。
 自社「THE FINALS」のレビュー収集中に偶然Playtest IDを入れたら当時のレビューが残っていた,というエピソードも披露された。

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 第2部は「ユーザーは思うほど動かない」。
 市場は狭い。シューター市場の上位5本でシェアの60.6%(CS2だけで31.6%)を占め,下位90%の約4,600本は合計1%にも満たない。PCCU1万超に絞ると上位5本は66.9%に上がる。
 上位5本はCS2,PUBG,Apex Legends,Delta Force,Rustで,Delta Force以外は7年以上市場にいる。7か月で1,600万本を売ったARC Raidersですら12位(1.28%)だ。
 ユーザーも動かない。2時点で追跡すると遊んでいたゲームの75%は次の時点でも同じ。1〜2本しか遊ばない層は87%が同じで,半数以上は1本も変えない。メインゲームが次も同じである確率は66%と,3人に2人は1週間後も変わらない。
 Steamの2025 Replayでも年間平均は4本,シューターは2.4本。2025年の新作は総プレイ時間の14%にとどまり,2017年以前のゲームが40%を占める。「いくら新作が出ても,ユーザーは動かないか,慣れたゲームに戻る」のだ。

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 第3部は「潜在ユーザーと本当の競合を探す」。
 市場がこれほど狭い以上,全世界のプレイヤーを呼んで留めるのは非現実的だ。自社ゲームを本当に好み定着するユーザーがどれだけいて,どこにいるのかを知る必要がある。彼らは今,他のゲーム=将来ユーザーをやり取りしている競合タイトルの中にいる。

 ローンチ前はSteamタグを手がかりにする。各ゲームには約20個のユーザー付与タグがあり,500本の主要シューターのタグを集め,共起傾向0.3以上のタグを結ぶとクラスタが形成される。これを診断ツール「GPS(Game Positioning System)」のモジュールとして使う。
 発売前ゲームには自分でタグを付け,既存500本との類似度を計算する。クローズドアルファ中の自社「NAKWON: LAST PARADISE」を分析すると,最も近いのはThe Midnight Walkers,次がARC Raiders,上位5本中4本がExtraction Shooterクラスタ。NAKWONがエクストラクションシューターである以上当然だが,Steamストアの自動レコメンドも同じ場所を指していたことが重要だ。

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 ローンチ後は「一緒に遊ばれているゲーム」を見る。ウォルマートの「ビールとおむつ」のように,実際の併売(併プレイ)を見るのだ。
 クロスプレイデータでクラスタリングすると,シューター市場は大きく6クラスタに分かれた。これが本当に「潜在ユーザー」かを,ARC Raidersのテスト参加者の流入元ゲーム(origin game)で検証する。CS2,Marvel Rivals,THE FINALS,Palworld,HELLDIVERS 2などが並ぶが,重要なのは「誰が定着するか」だ。
 セッション時間と脱出成功率の散布図で見ると,THE FINALS(Embark),Marathon/Destiny勢,Marvel Rivals,HELLDIVERS 2のプレイヤーがARC Raidersにうまく適応していた。「ゲームの楽しさが違えば,エンゲージメントも違う」という仮説がデータで裏づけられた形だ。

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 潜在ユーザーが分かれば,次は「彼らが我慢できない点を直す」
 NAKWONでは,潜在ユーザーの共通の不満が「移動速度・操作がもっさりしている」ことだった(プレアルファでの否定レビューの36%,The Midnight Walkersでも24%)。
 そこで基本移動速度を上げ,回避を緩く,アニメーションを自然にしたところ,3月のCBTで移動への否定レビューは36%から19%,Playtest推奨率は69%から83%,PCCUは5600から3万7000へと改善した。「成功は一因では決まらないが,何を直すべきかは数値が明確に示してくれた」。

 ローンチ後はレビューが膨大になるため,「言うこと」と「実際の行動」で4群に分ける。G1=推奨して残る,G2=推奨して去る,G3=推奨しないが残る,G4=推奨せず去る。
 注目はG3で,親のチームを誰より罵りながら球場に通う野球ファンのような「ツンデレ勢」だ。
 主要シューターの低評価者55万人のうち,48万人(87%)が低評価後も再起動していた。ある匿名ゲームではG3が低評価者の16%で,低評価前に200時間,後に150時間も遊んでいた。彼らは削除コンテンツ・課金・バグ・マッチメイキングを具体的に語る。
 一方G4は4%で,わずか16時間で「自分には合わない」と去り,序盤のマッチメイキングやバグ,第一印象を語る。「ライブ運営で離脱を防ぎたいならG3を,新規獲得を増やしたいならG4を聞くべき」。

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 最後にソ氏は「嫌がることを避けるのと同じくらい,慣れ親しんだものを守ることも重要」と説く。
 プレイヤーは他のゲームで身につけた基準(ワイプ周期,イベント運営,操作,UI/UX,キー配置など)を携えて来るため,その水準を満たさなければ結局慣れたゲームに戻ってしまう。
 「競合に対しては,少なくともプレイヤーが期待する水準を満たす必要がある」

 まとめとして,ゲームへの評価は発売前に大方形成され,市場もユーザーも保守的で動かないこと,SteamDBとクロスプレイで自社の位置と潜在ユーザー・市場を特定すること,競合のプレイヤーが我慢できない点に応え,かつ慣れ親しんだ期待を満たすことを改めて強調した。

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 Q&Aでは,「ポジティブな影響はどう分析したか」と問われ,「肯定レビューは「Good」「Nice」のように短く感情の表明にとどまるものが多く,否定レビューのほうが具体的で有意なインサイトを多く引き出せた」と回答。FPS以外のジャンルにも当てはまるかという問いには,「シューターでも思うほどゲームを乗り換えない(年2.4本)。PvPが多く,勝つにはゲーム理解の蓄積が要るため,乗り換えると積み上げを捨てることになる。だからクラスタ内で固まりやすい」と説明した。
 モバイル(Google Play等)への応用については,「Steamほど開かれたプラットフォームは今のところない。コンソールは自社アカウント中心かパートナー向けAPI,Epicも基本はFortniteなどタイトル単位で,ストア全体を横断できる例は見つかっていない」とした。

  • 関連タイトル:

    NAKWON: LAST PARADISE

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