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かつてゲームボーイで発売された「メダロット カードロボトル」の名を冠する本作だが,中身は単なる続編ではない。パーツ,メダル,メダフォース,メダチェンジといった「メダロット」らしい要素を残しつつ,デジタルカードゲームとしてのテンポや管理しやすさを重視した“完全新作”に等しい内容になっている。
[プレイレポ]手札もデッキもすべてがリソース。26年ぶりに復活した「メダロット カードロボトル RB」は,遊びごたえ満点のDCGに進化していた
イマジニアは,Nintendo Switch用ソフト「メダロット カードロボトル RB カブト / クワガタ Ver.」を2026年6月25日に発売予定だ。26年の時を経て復活したメダロットのカードゲームはどのような進化を遂げたのか。開発中の本作に触れる機会を得たので,プレイレポートをお届けしよう。
今回はイマジニアの開発ディレクターである加藤昌史氏,デベロッパであるジュピターの大石浩史氏,播本卓也氏へのインタビューを行う機会を得られた。本作がカードゲームになった経緯,旧作から大きく作り直された理由などを聞いている。
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なぜ今「カードロボトル」なのか。ロボトルをカードゲームとして再構築した理由
4Gamer:
話を受けたとき,開発チームとしてはどう感じましたか。
大石浩史氏(以下,大石氏):
素直に「これは面白そうだな」と思いましたね。ロボトル自体が複雑なところもありますし,カードゲームとは合っている。きっと,やり応えはあるだろうという印象でした。
4Gamer:
「カードロボトル」という名前についてはいかがでしょう。同じ名前を冠するかつてのゲームボーイ版やリアルのカードゲームとは大きく違う内容になりましたが。
加藤氏:
それはもう,一番分かりやすいからです。なんだったら,最初は「RB」すらつけない案もありました。ただ,それだとさすがに混乱するだろうということで,現在の形になりました。
4Gamer:
当初から「旧作の復活」ではなく,新規のものとして刷新する方針だったのですね。では,どんな方針でゲームを作り始めたのでしょうか。
加藤氏:
これまでのメダロットは,カードゲームに限らず,バトルが長くなりがちなところがありました。今の時代にその長さは合わないだろうという感覚があったので,スピード感のあるものを作ってほしい,という話を開発チームにしていました。
播本卓也氏(以下,播本氏):
最初の段階では,「カードゲームでロボトルを再現できるか」というところから企画を考え始めました。加藤さんが言ったとおり,ロボトルは複雑に要素が絡み合うものなので,取捨選択には苦労しましたね。
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4Gamer:
腕パーツのみカード化したり,僚機をカード1枚で表現したりと,いろいろな工夫が見て取れます。そういった切り分けは,どのように進めていったのでしょう。
加藤氏:
かなりギリギリまで悩みましたよ。当初は間口を広げるためにパラメータを減らしていましたが,やりすぎるとメダロットらしくなくなってしまう。
基本ルールはジュピターさんに考えてもらい,こちらは「それは行きすぎているので,メダロットにするためにはここを残してください」と見る役割でした。
4Gamer:
ジュピター側として「ここは絶対に残さなければいけない」と考えていた部分はありますか?
播本氏:
ロボトル中にパーツを変えたり,どのパーツで受けるかを考えたりする要素は,ロボトルの醍醐味として大切にしたいと考えていました。
それからチームで戦うところも,メダロットらしさとして欠かせない要素でしょう。
4Gamer:
そこをなくすと,メダロットではなくなってしまうと。
大石氏:
そのうえで,近代的なゲームと比較しても学習コストが高すぎないようにしなければなりません。そのなかで,メダロットのパーツが少しずつ壊れていく感覚は残したい,というバランスで作っていきました。
4Gamer:
初期の段階で,どんなプロトタイプが作られていたのか興味があります。現在と違う形も試していたのでしょうか。
大石氏:
最初のプロトタイプでは,頭部パーツや脚部パーツもありました。ただ,さすがに複雑すぎるということで,腕パーツを中心にした形へ絞り込んでいきました。
加藤氏:
まさに「メダロット9」のロボトルをそのままカードゲーム化するような形も作りましたが,評判はよくなかったですね。それならもうカードゲームでやる意味がない。なにより,ゲームが進むほど弱体化していくものだから,あまり遊び心地がよくなかったんです。
大石氏:
あとは命中判定の導入も試しました。これがゲームとしてやってみるとストレスが大きく,面白くありませんでした。ゲームが停滞せず,よりスピード感のある展開を目指して調整をしています。
加藤氏:
挙動としてのロボトルらしさに執着するよりも,もっと広い意味での“メダロットらしさ”を楽しめるのが重要なんですよね。そういった部分を押し出すようにデザインしてもらいました。
4Gamer:
どのメダロットを出すか,どの能力をどのカードに割り当てるかは悩ましい部分だったと思います。どのように決めていったのでしょうか。
播本氏:
まず,メダロットを当てはめずにカードを作っていきました。それで「こういうデッキタイプが生まれる」「これはこの役割で使える」といった方向性が固まってきてから,メダロットを当てはめていった形です。そこから,当てはめたメダロットをこのカードゲームに合わせて解釈して調整しました。
そのうえで,イマジニアさん側から「このメダロットも出してほしい」「もっとこういうメダロットを出してほしい」といった要望をいただき,カードプールを作っていったような具合です。
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加藤氏:
メダロットはもう30年近いシリーズで,プレイヤーもいろいろな世代に分かれています。それぞれの世代からバランスよく,人気や認知度を考慮して選出しています。ただ,やはり漫画やアニメをやっていた時期の印象が強い部分はあります。そういったものは,一定数しっかり入れるようにしました。
4Gamer:
キャラクターといえば,本作の登場キャラは全員オリジナルですよね。これはどの段階で決まったんですか。
加藤氏:
実を言うと,最初はこれまでのメダロッターをそのまま出すつもりだったんですよ。でも,そうなると『自分自身』のカードを、本人が使うことになりますよね。今回はメダカードファイターたちが「カードを駆使して戦う」という熱い展開をしっかり表現したかったので,あえてプレイヤーとカードの役割は分けることにしました。
4Gamer:
本作はNintendo Switch向けのコンシューマゲームとして発売されます。この形式なら,スマートフォン向けに展開する可能性もあったと思うのですが,コンシューマにした理由は何だったのでしょうか。
加藤氏:
理由というと難しいですけれども。まぁ,スマホにはすでに「メダロットS」などがあるわけで,そこでさらに出す必要性はあまりないのかな,という考えはありました。それ以上に,単純にコンシューマでやりたかった部分もありますね(笑)。
4Gamer:
買い切りのゲームとして作る場合,運営型ゲームよりも初期環境における奥行きが重要視される印象があります。ワンパッケージで完結する環境として,どの程度の遊び応えを意識しましたか。
加藤氏:
正直,コンシューマならでは,ということはあまり強く考えていません。メダロットはもともと複雑なゲームで,それをカードゲームとして成形したら十分にやりこみに耐えうる内容になると思っていました。
最終的に少し難しくなったかもしれませんが,これぞメダロットだと感じられるような内容になったと思っています。
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“考えるカードゲーム”をどう磨いたか。調整の試行錯誤とリリース後への期待
4Gamer:
本作には,カナイセイジさんや刈谷圭司さんといったアナログゲームデザイナーもアドバイザーとして参加されています。実際にはどのような関わり方だったのでしょうか。
加藤氏:
こちらで作ったものを遊んでもらい,意見をいただく形でご参加いただきました。とくにテキスト周りの調整については,かなり参考になりました。
挙動が分かりやすい書き方が必要だったり,逆に書きすぎると文字が小さくなってしまったりします。そこはかなり手伝ってもらいました。
大石氏:
UIや見えていない情報について,かなり多くの点で重要な指摘をいただきましたね。どんな言い回しにすればテキスト量を減らせるかとか,どんな挙動をキーワード化すべきかとか,プレイヤー目線でアドバイスをいただけたのは助かりました。バランスはもちろん,明らかに遊びやすくなったと思います。
4Gamer:
うまく簡略化できた,と思う部分はありますか。個人的には,トラップ周りがかなりうまく整理されていると感じました。
播本氏:
いやぁ,トラップは大変でしたね。手軽に設置できると,カードがすぐに強い状態になってしまうので,設置ポイントのようなリソースを用意する形になりました。
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4Gamer:
では逆に,テストプレイ中にバランスを壊した要素などはありましたか。
加藤氏:
たくさんあったねぇ(笑)。
大石氏:
たとえばクロスアタックまわりは,最初はうまく機能していない時期がありました。リーダーのパワーが高くなりがちで,そこに対抗するためにクロスアタックを入れようという話になったのですが,最初はパワーレベルの調整に苦慮しましたね。
4Gamer:
リーダーへのバフはかなり慎重に設計されていると感じました。パワーで上回らなければダメージが入らない関係上,僚機の価値が下がってしまいますから難しい部分だと思います。
加藤氏:
あとは急速冷却ですね。ちょっと数値が違うだけで強さがまるきり変わってしまうので,何度も何度も数字が変わっています。発表当時の画像を見ると,かなり性能が違うのが分かると思いますよ(笑)。
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4Gamer:
本作には,流行のデジタルカードゲームの感覚も,アナログカードゲーム的な感覚も入っているように感じました。開発のみなさんは,もともとカードゲームをよく遊ばれていたのでしょうか。
加藤氏:
もちろん,だからこそ「メダロット8」や「メダロット9」でカードゲーム要素を入れていたんです。今回お願いするときにも「うちにはカードゲームを知っている人がいるよ」と伝えていました。
播本氏:
私は「マジック:ザ・ギャザリング」や「モンスター・コレクション」「ハースストーン」「ドラゴンクエストライバルズ」など,いろいろと遊んでいます。
大石氏:
私も中学生くらいから,「マジック:ザ・ギャザリング」だけではなくいろいろなカードゲームを遊んでいました。デジタルゲームでは「ハースストーン」や「ドラゴンクエストライバルズ」なども遊んできたので,その経験はかなり活きたと思います。
4Gamer:
発表後や体験版配信後のプレイヤー反応はいかがでしたか。確認した限りでは,発表段階でルールをよく研究されている方もいて,非常に熱心な印象を受けました。
加藤氏:
強い熱意はひしひしと感じています。体験版もありましたし,その前にイベントで体験会も行いましたが,みなさんいろいろ考えてくれていました。反響自体も良いもので,カードゲーム好きな人たちが納得してくれていることと,「メダロットらしいよね」と言ってもらえていることが,とても嬉しかったです。
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4Gamer:
アナログ版は個別に展開されず,現状はDeluxe Editionに同梱される「メダロット・カードゲームRB」としてのみ存在する,という理解でよいでしょうか。
加藤氏:
現状はそうです。あくまで,Deluxe Editionの特典としての製品だと考えてください。
4Gamer:
アナログ版を付けた意図は何だったのでしょうか。驚いた人も多いと思います。
加藤氏:
コレクションにもなるでしょうし,実際にやりたいことでもありましたからね。ただ,本編の内容をそのまま紙で再現するのはかなり難しいんです。最初は紙でできる範囲で考えていましたが,仕組みが増えていくうちに無理だなと(笑)。
4Gamer:
本作は完結した環境が1本の中にある作品ですが,どうしても拡張に期待してしまいます。まだ決まった話ではない前提で伺いますが,今後カードを追加したい,あるいは大会を開きたいといった構想はありますか。
加藤氏:
もちろん,常にアイデアはストックしています。出せなかったメダロットたちも結構いますからね。人気があって,プレイヤーからも「これが欲しい」と言われそうなものも少なくありません。実際,あともう少しカードがあれば環境を広げられる感覚があります。
あと,大会はぜひやってみたいですね……できるかは分かりませんが,できたらそれはうれしいですよ。
4Gamer:
カードゲームは,プレイヤー発信で開発側が想定していなかった戦法が生まれることもあります。現時点で,そういうものはありましたか。
加藤氏:
プレイヤーが触れられる環境は体験版の範疇でしたから,まだ見当たりません。ある程度は潰しましたが,それはどうせ生まれてくるんだろう,というところはあると思います。
播本氏:
終盤のデバッグ中にも,新しいコンボが見つかったりしていましたからね(笑)。
加藤氏:
見ている限りでは,重複する効果の活用などはまだあまり考えられていないように見えます。そういうところが出てくると,ちょっとすごいことが起きるかもしれません。
4Gamer:
開発目線から見て,本作はほかのカードゲームと比べて,どこに一番の面白さがあると考えていますか。
播本氏:
個人的には,急速冷却を絡めて,自分のリソースを削りながら戦うところですね。盤面のカードが一回行動して終わりではないので,選択肢の幅がとても広い。一つのカードが常にどの選択肢を取るのかを考え続ける感覚は,珍しいかなと思います。
4Gamer:
遊べば遊ぶほど,「今の最適解は何だったのか」という感想戦が生まれるゲームだと思いました。急速冷却をすべて切るべきだったのか,ここは残しておくべきだったのか,かなり悩まされます。
大石氏:
次のターンでリーサルを取れるかもしれないけれど,その次のターンまで自分が生き残れるかも考えなければいけません。急速冷却もあるので,選択肢はかなり多いです。その多さが面白さでもあり,難しさでもあります。
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4Gamer:
リリース後,プレイヤーにはまずどこから楽しんでほしいですか。
大石氏:
カードを集めて,いろいろなリーダーで遊んでほしいですね。パックでカードを集めていくと,できることが増えていく楽しさを味わえると思います。
加藤氏:
カードは比較的集めやすいので,デッキ作り自体に困ることはないと思います。まずは好きなリーダーを見つけて,そのリーダーでデッキを組んでほしいですね。
リーダーが違うと,戦い方もかなり変わります。前に出て戦うリーダーもいれば,サポートを守るような動きをするリーダーもいます。そういう違いを触って試してもらえればと思います。
4Gamer:
最後に,プレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
大石氏:
メダロットファンの方には,原作で親しんできた機体や使用感を大切にしつつ,デジタルならではのテンポと遊びやすさで,新しい形のロボトル体験を楽しんでいただけると思います。カードゲームプレイヤーの方にも,戦略性の高い駆け引きや,パートナーを考える楽しさに集中できるゲームになっていると思うので,ぜひ遊んでみてください。
播本氏:
ルール自体はかなり攻めたカードゲームになっています。「メダロットをカードゲームにしただけでしょ」という気持ちではなく,「このカードゲームにはこんな攻めたルールが入っているんだ」というところも含めて,カードゲーマーの方にも楽しんでもらえればと思います。
加藤氏:
メダロットらしさを残したうえで,面白いカードゲームができたと思います。いろいろ考えながら遊ぶと面白いゲームになっていますので,ぜひ楽しんでください!


















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