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今年で30周年という節目を迎えた「東京ゲームショウ2026」の裏側で,オンライン配信イベント「PC Gaming Show Tokyo Direct」が初開催された。イギリスのゲームメディア「PC Gamer」が手掛ける本イベントの歴史と存在意義を振り返るとともに,TGSの巨大な情報量の陰に埋もれさせてしまうには惜しい,PC向けインディータイトル5作をピックアップして紹介する。
幕張メッセからの現地レポートも加わったオンライン配信イベント
9月17日から20日にかけて,今年で30周年という大きな節目を迎えた東京ゲームショウ(TGS)が幕張メッセで開催された。4Gamerでも400本を超える怒涛の特集記事を掲載しており,まだまだすべての情報を消化し切れていないのは,読者の皆さんだけでなく取材チームも同じこと。今回は53の国や地域から1138の企業・団体が参加し,総来場者数は25万7642人に達した。
そんなゲーム情報の洪水のなかで,どこかひっそりと,実験的に公開されていたようなオンライン配信イベントが,日本時間9月21日の午前1時から行われた「PC Gaming Show Tokyo Direct」だ。ビジネスデイに現地で取材した様子も取り込まれ,これまでのオンラインイベントとは趣向の異なるスタイルになっているうえ,日本語の対訳版も配信されているのが面白い。
当連載をお読みの皆さんであればご存じだろうが,「PC Gaming Show」は,イギリスのゲームメディア「PC Gamer」を発行するFuture Publishingが主催するオンラインショーケースだ。2015年のE3(Electronic Entertainment Expo)期間中に第1回が開催されて以来,毎年夏を彩る恒例行事として世界中のゲーマーに親しまれている。
2015年当時のゲーム市場では,Sony,任天堂,Microsoftといったプラットフォームを統括する巨頭が,自社プラットフォームをアピールするためのイベントを大々的に展開していた。一方,PCゲーム市場にはそうした単一の「ショーケースを仕切る親玉」が存在しない。Steamを運営するValveですら,自ら主導して大規模な発表イベントを開催することは基本的になく,世界中にある無数のデベロッパやパブリッシャが個別に情報を発信する状況が続いていた。
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こうした市場構造の隙間を埋めるべく立ち上げられたのが,PC Gaming Showである。PCゲームに特化した独自のメディアだからこそ実現できた本イベントは,根強いファン層を持つデベロッパの大型発表から,尖ったコンセプトを持つ気鋭のインディーゲーム,さらには最新PCパーツや周辺機器の紹介に至るまで,PCゲームカルチャー全体の「今」を網羅する貴重な場として発展してきた。
近年のPC Gaming Showは,6月のSummer Game Festに合わせた夏のメインイベントにとどまらず,12月には注目作をランキング形式で発表する冬版「PC Gaming Show: Most Wanted」も開催している。また8月のgamescomでは,姉妹メディアのGamesRadar+が主催する「Future Games Show at gamescom」を共同で展開する形でサポートするなど,オンラインの場でも活動を広げてきた。
前回の連載「第872回:AIが加速させるゲーム供給過多,冷めていくゲーマーの心と財布」では,いまのゲーム市場が抱える供給過多の問題について論じた。PC Gaming Showのような配信イベントが増えているのも,そうした“埋もれかけている良質なゲーム”を少しでも多くのゲーマーに届けようという,メディアとパブリッシャ/デベロッパの意思が合致しているからだろう。今年,TGSの時期に合わせた「Tokyo Direct」が新たに加わったことで,その展開範囲がついにアジア・日本市場へと本格的に拡張されたのは興味深いところだ。
それでは以下,TGSのメインイベントで見逃してしまっていたかもしれない,PC向けのゲーム5作を紹介しておこう。
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「Tenebris Somnia」
開発元/販売元:Andrés Borghi, Saibot Studios / New Blood Interactive発売予定日:2026年10月16日
BitSummit PUNCHにも持ち込まれていた「Tenebris Somnia」は,レトロな2Dドット絵のサバイバルホラーと,実写のライブアクション映像を融合させた異色作だ。プレイヤーは失われた記憶と悪夢の謎を追う主人公となり,8ビット風のゲーム画面で探索やパズル解きを行う。だが,重大な局面や恐怖演出のシーンに差し掛かると画面は一変し,ホラー映画さながらの実写映像へと切り替わる。
アルゼンチンの映画監督アンドレス・ボルヒ(Andrés Borghi)氏と映画クルーを起用して制作されており,かつての「FMV(フルモーションビデオ)」ゲームの文化を踏襲しつつ,ドット絵のレトロ感と生々しい実写映像のギャップによって,強烈な恐怖と没入感を生み出している。
「Night Plane」
開発元/販売元:Liquid Static Studio, Snapping Turtle / New Tales発売予定日:2026年10月26日
サバイバルホラー「Night Plane」は,夜間飛行中の旅客機という完全な閉鎖空間を舞台にした,ワンシチュエーション特化型の,コミカルながらも不気味なゲームだ。プレイヤーは客室乗務員(CA)として機内を巡回し,ドリンクの注文に応えたり機内サービスを行ったりするのだが,乗客のなかには人間に擬態した恐ろしい悪魔が紛れ込んでいる。
搭乗客の言動や挙動から偽物を見つけ出し,機内から排除していかなければならない。日常的な接客タスクをこなす作業感と,いつ正体を現すか分からない悪魔の恐怖が背中合わせになっており,もし操縦不能に陥って不時着した場合は,生存者の救出を目指すというサバイバル展開も待っているという。そんな本作は今回の配信で,10月26日に発売されることが発表された。
「Really Illegal Golf」
開発元/販売元:Pushlab Games / No More Robots発売予定日:2027年第1四半期
「Really Illegal Golf」は,「コースがないなら,どこでも打てばいい」という破天荒な発想から生まれたステルスゴルフアクションだ。プレイヤーの目的は,厳重なセキュリティが敷かれたオフィスビルや工事現場,美術館といった,本来ゴルフなど許されない施設に不法侵入し,見事カップインを決めること。
防犯カメラの監視網や巡回する警備員の目を盗みながらボールをセットし,弾道や反射を計算してショットを放つ。ときには相手をスタンガンで気絶させたり,障害物を破壊してルートを強引に切り開いたりと,ステルスゲームと物理パズルゴルフ,そしてドタバタ感がしっかりと融合したユニークなプレイスタイルを楽しめそうだ。
「Fish & Ships」
開発元/販売元:DoubleMoose Games発売予定日:未定
大空を航行する飛行船(エアシップ)を舞台に,仲間とともに世界の果てを目指す協力(Co-op)アクションが「Fish & Ships」だ。プレイヤーたちは,操縦桿を握る者,エンジンに燃料を補給する者,大砲を撃って迫りくる空棲生物を撃退する者などに分かれた船員となり,役割を分担しながら船を運用していく。どこか「Sea of Thieves」の飛行船版といったところだろう。
天候の変化や機体の故障,敵の襲撃など,空の旅には絶え間なくハプニングが巻き起こるため,ボイスチャットや素早い判断による密な連携が欠かせない。わちゃわちゃとしたパニック感を楽しみながら,自分たちの愛船を改修・強化していくという,のめり込めそうな成長要素も用意されている。
「Hodka」
開発元/販売元:Flazm / Skystone Games発売予定日:2027年
「Hodka」は,厚い霧と異常現象に包まれ荒廃した世界を,1台のバンとともに旅するオープンワールド型のサバイバルアドベンチャーだ。相棒となるバンは,移動手段であると同時に過酷な環境から身を守る移動拠点でもある。エンジンやタイヤなどのパーツをメンテナンス・カスタマイズしながら,廃墟と化した街や施設を探索し,ガソリンや食料,クラフト素材を調達していく。
車両の重量配分や燃料管理が生き残りの鍵を握っており,愛車を少しずつ強化しながら,危険な異常地帯の奥深くへと足を踏み入れていく。金属探知機の反応を頼りに直線的に進むか,地形を見極めて慎重に迂回するかといった判断も求められるだろう。静かな孤独感と緊張感に満ちたサバイバル体験が魅力になりそうだ。
著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
















