本作が生まれるまでにどのような紆余曲折があったのか。東京ゲームショウ2026に来場していた庄 知彦プロデューサー,井山裕敬ディレクターへのインタビューをお届けしよう。
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「真・三國無双2」らしさを出すための細かな調整
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは,このタイミングで「真・三國無双2」「猛将伝」のリマスター作品をリリースするに至った経緯から教えてください。
庄氏:
以前から「この無双をリマスターしてほしい」という声はいただいており,最も多くの要望が届いていたのが,「無双」シリーズのベースになっている「真・三國無双2」でした。ですので,最初にリマスターするなら「2」じゃないかなと。
当時の「2」のプレイヤーのうち,国内では7割前後が「猛将伝」も買ってくれていたということもあり,「猛将伝」もセットでリマスターすることにしました。
4Gamer:
当時を振り返ると,呂布は「猛将伝」から人気が出たキャラクターという印象があります。
庄氏:
そうですね。呂布をはじめ,他勢力のキャラクターに無双モードが追加されたのが「猛将伝」でした。その結果,キャラクターの個性が立って人気が出たという側面はあるかもしれません。
ただ,「猛将伝」はシリーズ作品のなかでも,かなりはっちゃけた内容でした。面白おかしく作ったところが喜ばれたのだと思うのですが,直接携わっていない身としては少し思うところはあります(笑)。
4Gamer:
呂布の強さや,大量の兵士が出現する戦場のイメージは,「真・三國無双」シリーズからさまざまな作品に波及したように思います。
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庄氏:
そう言っていただけるのは光栄ですが,「すみません」という感情もあります。ここまで広がると分かっていたら,もっといろいろなチャレンジをしておけばよかったなと(笑)。
4Gamer:
体験版では「敵が強い」というか「賢い」と思いました。これは原作である「真・三國無双2」と同じでしょうか。
庄氏:
賢くなったというより,一度に表示される敵が増えた結果,難しく感じたのだと思います。単純に兵士が増えているので,それだけでも過酷な戦場になっています。
井山氏:
そもそも「真・三國無双2」の敵は,シリーズ作品のなかでもかなり賢いというか強いんです。また,敵が肉まんなどのアイテムを使ったことを可視化した影響もあると思います。
4Gamer:
副将の存在がかなり厄介でしたが,「真・三國無双2」には登場しませんでしたよね。
井山氏:
はい。最近の「無双」から逆輸入した要素の1つです。
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庄氏:
敵の表示数が増えた結果,戦闘のバランスを見直す必要に迫られたので,副将を入れることにしました。全体の難度は当時に近いイメージを残しつつ,少し易しい方向で調整したつもりです。
4Gamer:
兵士の数が増えたことで,1000人斬りを達成しやすくなりました。
庄氏:
当時はわざと拠点兵長を倒さずに,兵士が湧き続けるようにして数を稼ぐのが1つの攻略法になってましたよね。今回はそんなことをしなくても,1000人斬りができると思います。
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4Gamer:
兵士の数が増えたり,グラフィックスが高解像度になったりしたことで,印象が変わったマップはありますか。
庄氏:
それはもう全部と言っていいかもしれません。
4Gamer:
官渡の戦い,赤壁の戦いといった大規模な戦場はすごいことに?
井山氏:
はい。ステージはどれも作り直して,いずれもすごく印象が変わっているのですが,とくに赤壁の戦いは連結した船と船の間に兵士が挟まったりして,処理が大変という意味でもすごいことになりました(笑)。
庄氏:
当時はいわゆるフォグで処理していて,プレイヤーの周囲しか見えない仕様でしたが,今回の「無双」はすごく遠くまで見えるようになっているので,どこも全然違う印象になっていると思います。
4Gamer:
戦闘のバランスを見直したことで,自分が操作する武将の攻撃判定なども変わっているのでしょうか。
井山氏:
かなり細かく調整しています。ほぼ全部の技のフレーム数を再検証していますし,攻撃判定は総じて大きくなっています。攻撃力も高くなり,操作して「気持ちいい」と思ってもらえる調整になっています。
庄氏:
ここは難しかったところです。基本的に攻撃範囲はモーションの見た目に合わせて,少し大きめに作るんです。「真・三國無双2」もそのようにしていたのに加えて,リマスターではさらに大きめにして,社内でいろいろな人にプレイしてもらったのですが,それでも誰に聞いても「攻撃範囲が狭い」と言われまして(苦笑)。
近年の攻撃範囲がインフレしたアクションに慣れている方には,当時以上に見た目より大きくしているつもりでも,狭いと感じられてしまうようでした。
だからといって,攻撃範囲を広くしすぎてもインフレするだけなので,現場のみんなは調整に苦労したと思います。
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4Gamer:
プレイアブル武将には回避などの新しい防御システムも追加されています。こうした仕様変更があると,リメイクに近いのかなと思いました。
庄氏:
そのように言っていただけるのは嬉しいのですが,私の考えではあくまでリマスターの範疇なんです。開発を進めていくうちに,あれやこれやとやるべきことをやっていったら,スケジュールもコストもすごいことになってしまったのですが……私の矜持として意地でもリメイクとは言いません(笑)。
4Gamer:
分かりました(笑)。
庄氏:
回避を足したり,ガードの仕様を変えたり,ジャストパワーガードを追加したりしたのは,リマスターを進めていくなかで,今のプレイヤーのこと新しいプレイヤーのことを考えた結果です。どの世代の「無双」ファンにも違和感なく遊べるようにするには,追加した防御システムは必要な要素だと思いました。
謙遜して言っているのではなく,「『2』を根本から作り直す」という気持ちではないので,本作は「リメイク」ではなく「リマスター」なんです。
オンライン対応と今後の展望
4Gamer:
追加されるステージは,どのような内容でしょうか。
庄氏:
ただのifシナリオではなく,やりこみ要素があって,物語の雰囲気的に終盤を感じさせるもの,高難度のものというコンセプトで開発チームに作ってもらいました。リマスターとはいえ,やはり新しい体験も提供したいし,魏呉蜀それぞれの勢力に1つずつは欲しいなと。
井山氏:
庄が言ったとおりですが,最後に到達するステージであり,新要素の武器合成を楽しめる,そして素材集めにも使えるステージになっています。
庄氏:
追加ステージは特定の武将のものではなく,各勢力の条件を満たしたら出現するようになっています。
4Gamer:
武器合成のシステムについても教えてください。
庄氏:
ユニーク武器を含めて,武器の取得条件は原作そのままです。ただ,当時のユニーク武器は「ハズレ」扱いされる方もいらっしゃったので,属性を変えられるようにしました。
井山氏:
「真・三國無双2」の発売当時は大学生だったのですが,推しの武将のユニーク武器が弱いとかなり残念な気持ちになりました。ユニーク武器に救済措置を入れたいと思いまして,武器合成によって属性を付け替えたり,あるいは攻撃力や防御力などのスキルを付け替えたりできるようにしています。
4Gamer:
近年の「無双」では見なくなったバーサスモードやチャレンジモードがありますね。
庄氏:
「真・三國無双2」は当時の若き私のノリと勢いで作っていた部分もあって,バーサスモードやチャレンジモードはそこから生まれました(笑)。
当時,どれだけ遊んでもらえたのかは分かりませんが,リマスターにあたって削るのもおかしい話かなと。
4Gamer:
バーサスモードやチャレンジモードはオンラインでも遊べる?
庄氏:
発売後のアップデートで対応します。基本的に2人でプレイするゲームモードは,すべてオンラインでも遊べるようにする予定です。
当初は原作と同じくオフラインの画面分割2人プレイのみの予定でしたが,発表後の反応が「当然,オンラインでも遊べるよね?」といった期待に満ちていたので,「これはやるしかないか」と(笑)。
4Gamer:
今後のリマスター予定は?
庄氏:
今回の「真・三國無双2」のリマスターがうまくいけば,「3」以降のリマスター化が行われる可能性は高まると思います。現状では何も言えないし,そもそも考えてもいないんですが,Steamで遊べないタイトルをリマスター化していくのは,あり得ない話ではありません。
ただ,本音ではやりたくないんです。ほぼ作り直しになりますし,今回も「なんで自分で作ったものを自分で作り直しているんだろう」と思うこともありました(苦笑)。
年齢的にも50代ですし,「定年までにあと何本作れるのか」と考えることもあって,そうなると新作や続編を作りたいなと。
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4Gamer:
なるほど。
庄氏:
ただ,それと同時に,シリーズを支えてくれるファンの方の声に応えたい気持ちもあります。だから,次は誰かに頑張ってもらおうかなと考えています。このリマスターを実現するのも,本当に何年越しでの話で大変だったので(笑)。
今回は現場のスタッフが本当にいろいろな調整をして,しっかり仕上げてくれたので,今のゲームとして恥ずかしくないものができたと思っています。それでも,どう受け止められて評価されるのか,まったく分からないですね。
4Gamer:
新作より読めないものですか。
庄氏:
ほかにも「今,これは大丈夫か」と思っていることはあって,たとえば英語音声。当時の音声は,だいぶ特徴的な英訳だったんです。
でも,それがすごく喜ばれていたので,英語圏からは「あの英訳はそのままだよな」と言われ続けています。なので,当時を知る人には喜んでもらえるはずです。
ただ,当時を知らないプレイヤーには「なんだこれ」「英訳のクオリティ,おかしくない?」と評される可能性もあります。どういった評価に落ち着くのか,すごく不安があります。
4Gamer:
最後に4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
井山氏:
原作のファンはもちろん,もっと多くのお客様に遊んでいただけるように知恵を絞り,何とか作り上げました。ぜひ手に取っていただけたらうれしいです。
庄氏:
25年前に作ったものを,また自分の手で世の中に出すことになるとは思っていませんでした。「無双」がそれだけ長い間,応援していただけるシリーズに成長したことはうれしいです。
原作を知らなくても楽しんでいただけるように工夫をしていますので,近年のシリーズファンの皆様もよろしくお願いします!
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