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歌が,世界のルールを書き換える。物語とリズムアクションが連動するADV「MoonHack」の原点を辿るとまさかの「社名」だった[TGS2026]
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印刷2026/09/18 14:00

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歌が,世界のルールを書き換える。物語とリズムアクションが連動するADV「MoonHack」の原点を辿るとまさかの「社名」だった[TGS2026]

 2125年。人類はとうに,働くことも,税を納めることも,将来を憂うこともやめている。誰を愛するかという選択さえ,AIが代わりに最適化してくれる。
 感情は数値として測られ,生活は過不足なく整えられる。不安のない,きわめて合理的な幸福の代償に人類が手放したのが,「自分で選ぶ」という人間らしさ,自由だった。
 この完璧な管理社会に叛逆する少女たちが現れる。奪われた自由と魂を取り戻すための武器は,歌だった。

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 そんなダークSFな世界観のエモーショナル・サイバーノワールADV「MoonHack」が「東京ゲームショウ2026」のインディーゲームコーナー(ホール9 09-C53)に出展されていた。

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 本作はもともと「人類最適化計画」として発表された。プレイヤーは人類最適化AI機構「AEGIS」の協力者として,都市に潜む罪人を見つけ出す,といった内容だった。罪状には,「旧式違法AI重大システム改変罪」のようないかにもなものに混ざって,「糖分過剰摂取罪」「甘えん坊がすぎる罪」「お味噌汁がおいしい罪」といった様子のおかしいものもあった。

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 インディーゲームブランドのASTRAは本日(2026年6月24日),新作タイトル「人類最適化計画 Eden Protocol - Order of 2125」をPC向けにリリース予定であると発表した。本作は,さまざまな負荷から人類が解放された2125年の世界を舞台にした,サイバークライムハントADVだ。

[2026/06/24 20:16]

 人間らしさを罪とされた少女たちが「人類最適化計画」のXアカウントをハッキングし,「MoonHack」として本作が発表された,という流れだ。
 少女たちを率いるのは,竹取チームのリーダー・久遠院夜歌。そこへ,違法とされた旧式AIである月読カグヤが加わり,少女たちとカグヤの出会いをきっかけに物語が動き始める。月をハッキングするというタイトルのとおり,「月」「かぐや姫」も作品を象徴する重要な要素となっている。

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 Astro Productionは本日(2026年7月7日),PC向け新作タイトル「MoonHack(ムーンハック)」を,同社のインディーゲームブランド「ASTRA」より2027年にリリースすると発表した。本作は,AIによって管理される2125年の未来社会を舞台とする「エモーショナル・サイバーノワールADV」を謳う作品だ。

[2026/07/07 14:03]

 本作を手がけるのは,ゲーム・映像制作会社であるAstro Productionのインディーゲームブランド「ASTRA」。MoonHackは,ブランド初の作品だ。

 TGS 2026会場では,ノベルパートではなく,ブラッシュアップされたリズムアクションパートを試遊できる。
 ビジュアルノベル作品のミニゲーム的な要素かと思って試遊に挑んだら,そのクオリティが高くて素直に驚かされた。

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 その興奮のままに,Astro Production代表取締役の有賀 智氏と,本作のプロデューサーにMoonHackについて話を聞かせてもらった。試遊の体験と合わせてお届けしよう。

有賀 智氏
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※操作説明は,XBOXコントローラ基準

 リズムアクションパートは,いわゆる3Dのランアクションだ。キャラクターは奥へ向かって走り続け,左右は[左スティック]で自由に動かせる。
 流れてくるノーツを拾い,行く手をふさぐ障害物は[Aボタン]のジャンプで跳び越える。障害物や,攻撃を仕掛けてくる敵が現れる場面もあるが,これらは表示されたタイミングに合わせて[Xボタン]か[Bボタン]を押せば破壊できる。

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 触っていて面白かったのは,ノーツを取ったときに鳴る効果音だ。曲に対してリズミカルに噛み合うよう作られているため,ノーツを拾い続けているだけでリズムに乗れる
 譜面を正確に押さえるような緊張感より,ただ,曲に乗って走り抜けていく高揚感が前面に出ている。グラフィックスは3Dで,エフェクトなども豪華だ。

 アクションパートはあくまでストーリー上の演出として位置づけられており,プレイ中はキャラクター同士の会話も進む。

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 このアクションパートについて話を聞くと,有賀氏は「Sayonara Wild Hearts」からインスピレーションを受けた部分があると教えてくれた。
 音楽とハイスピードなランゲームを組み合わせたあの感覚を,キャラクターものに当てはめてみようという発想だという。

 演出を含めたクオリティの高さに驚かされたので,まずは開発体制から整理してみたい。まず,本体の会社がAstro Production,そこから立ち上がったインディーゲームブランドがASTRAだ。

 Astro Productionは従業員100名を超える7期目の会社で,ゲームには以前から関わってきたが,これまでは受託での制作がメインだったという。

 「宇宙一のエンターテイメント企業を目指す」という理念を掲げるなかで,自分たちからゲームを作っていきたいという機運が高まっていった。そのタイミングで今のプロデューサーと出会い,「じゃあ1本,ASTRAというブランドを作ってやってみましょうか」と動き出したという。

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 ASTRA側のチームは現在15名ほど。プランナー,デザイナーといったポジションは一応分かれているものの,少人数ゆえに「やれるところはみんなやる」体制になっている。

 筆者は正直,事前情報からはもっとシンプルな2Dのリズムゲームを想像していた。実物が3Dのランアクションだったので面食らったのだが,もともと3Dに強みを持つ会社だったらしい。
 一方で作りたかったものは,複数のキャラクターが登場するような重厚感のある物語だった。

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 これだけ3Dに強いなら,ノベルパートも3Dで作ろうという発想がなかったのか,と素直に聞いてみた。
 いわく,小規模でチャレンジをするうえで,いきなり3Dはハードルが高い。ストーリーを長く作りたいので,キャラクターと物語は2D,その代わりに得意な3Dとエフェクトに特化したアクションパートを作る。これが,開発のテーマの1つだったそうだ。

 制約のなかで,自分たちの得意を最大限に生かす方法が,ノベルパートとアクションパートの2層構造だったのだ。

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 では,なぜ音楽ゲームなのか。これは決め打ちではなく,どういうゲームが面白いかを初期メンバーで話すなかで,有賀氏が「Sayonara Wild Hearts」を引き合いに出し,プロデューサーが「それ,面白いんじゃないか」と受けて肉付けしていった。
 そうしているうちに今の形になったという。

 作品の原点を探すため,「月」「かぐや姫」というコンセプトの成り立ちを教えてもらうと,これが会社の名前から来ていた。
 Astro Productionという宇宙っぽい名前の会社なので,作品のコンセプトを何にしようかと考えて,月に決めた。そこからかぐや姫をテーマにすることになり,月をハッキングするという行為を音ゲーにしよう,となったそうだ。

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 そもそもAstro Productionという名前自体が,「宇宙一のエンターテイメント企業を目指す」という理念から来ているものだ。
 会社名の成り立ちから「宇宙」→「月」→「かぐや姫」→「ハッキング」→「音楽」。ブランドの由来から一直線に,ゲーム性までつながっている。

 会社のブランディングをしていくなかで,「自然とゲーム性も音楽も生まれてきた感じなんです」という言葉には,取材中もっとも納得させられた。

 ブランド名「ASTRA」も同様で,Astro Productionから派生する以上は「らしい」名前にしたい,かつ自分たちの理念を体現しているという理由で選ばれている。

 AIと宇宙といえば,最近,ChatGPTのOpenAIがGPT-6 Astraを発表していて,ここも単なる偶然だが,ある種のつながりを感じてしまう。
 とにかく話を聞いていて,どこまで見えているのか怖くなってきた。音楽が武器になる理由についても,「若干こじつけなところもあるけど」とと前置きしたうえで教えてくれた。

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 AIの弱点を考えたときに,人間には感情があるけれど,AIにはそれが理解できない。そこで音楽をその弱点の象徴ということにして,ハッキングするときに音楽でそこを突破する,というアイデアだ。

 MoonHackを「人類最適化計画」として発表した当時については,有賀氏は「初動が想像以上に良かった」と振り返る。ただ誤算もあって,人類最適化計画側から入った人が多かった結果,AEGIS所長・山田ソブリンのほうが主人公だと思われたというのだ。

 AEGIS所長・山田ソブリンのファンが数多く生まれてしまい,AEGIS派か竹取チームか,という構図がすでにできているのだとか。ここまで聞いていると,そこすらも狙いどおりと言われても納得してしまうのだが。

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 キャラクターのちょっと変わった罪状については,プロデューサーの狙いによるものだそうだ。一見ふざけているように見えるこれらも,物語のなかで意味を持ってつながってくるとのこと。
 まだ情報がほとんど出ていない状態なので,「どうつながるかは見当がつかないと思います」と,ワクワクするコメントをくれた。

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 ちなみに,公式Xアカウントの中の人も実はインタビューの場にいた。驚かされてばかりだ。制作チームは非常に若く,エネルギッシュだという。
 有賀氏いわく,ゲーム業界に長くいると「できない」という判断が先に来てしまうことが多いそうだ。そうではなくて,これは面白いから採用してやっていこう,と前向きなスタンスで作れるメンバーがそろっていて,みんな自発的に動いていると教えてくれた。

 音楽については,これまで3曲公開されている。月読カグヤ役の有世華望さんと久遠院夜歌役の桃禾彩生さんによるDUO曲と,それぞれのソロ曲だ。いずれもまだ若手ながら歌唱力が抜きん出ているとのこと。これからさらに伸びていく,光り輝こうとしているボーカリストを主役の2人に据え,その歌を聴かせる。それがキャスティングの根幹にあるという。

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 開発の進捗は全体の40%ほどで,発売は2027年を予定している。完成だけでなく,完成までの過程やプロモーションもしっかりと見据えたスケジュールだそうだ。
 ボリュームについては,正直,どんどん膨らんでいるそうで,とくにノベルパートは,最初の見積もりから2倍くらいにまで育っているという。音声はフルボイスの予定だ。有賀氏は,「あれ,これ大丈夫かな」と苦笑していた。
 価格については「新参者なので,手に取っていただきたい」という考え方のもと調整中だ。


 取材中,ブースにはキャラクターデザインを手掛けたイラストレーターのNoyu氏と,月読カグヤ役の有世華望さんも居合わせた。
 それぞれコメントをもらったので,最後にお届けしよう。

Noyu氏
「イラストとキャラクターデザインを担当しているNoyuと申します。自分の絵が3Dになること自体はVTuberさんなどで経験がありましたが,ゲームでこんなにたくさん動くのは初めてです。
 ずっとゲームのキャラクターデザインをやりたかったので,今回のプロジェクトにはすごく期待を寄せています。このゲームに自分の全技術を詰め込むつもりで,めちゃくちゃ頑張っています!」

有世華望さん
「曲はもう,全曲めちゃくちゃ良くて。キャラデザもすごく可愛いですし,ゲーム性もストーリーとリズムゲームの組み合わせという,新鮮で面白いものになっていると思いますので,楽しみに!」

 会社の理念を原点に生まれたMoonHack。有賀氏は,これを軸にさらにオリジナル作品を手がけていきたいという。
 作品に携わる人々の熱量がとても高く,さまざまな人の関わりを感じる1作だ。MoonHackの要素の1つである人間らしさが,ここにも詰まっているような気がした。


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