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同社が展開する「Nex Playground」は,2023年にアメリカで発売された据え置き型のゲーム機だ。テレビにつなぐ小さな箱の正面に超広角カメラが1つついており,これが捉えた体の動きをAIが解釈して,そのままゲームの操作に変換する。
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コントローラもないし,腕に巻くものも,床に置くセンサーなども必要ない。テレビの前に立ってジャンプしたり,踊ったり,避けたり,投げたりすると,キャラクターがそのとおりに動く。最大4人まで同時に認識する。
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リー氏はこの箱を,弁当箱に詰めたルービックキューブ,と形容していた。中身は詰まっているが,見た目は単純という意味だ。工業デザインを担当したのはサンフランシスコ在住の女性デザイナーで,彼女自身が子を持つ母親だという。リビングに置いたときに,いかにもゲーム機然とした存在感を出さないことが狙いだったようだ。
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技術面での要点は,すべてが本体の中で完結することにある。モーショントラッキングは専用のニューラル処理ユニットによってデバイス上で動いており,カメラが捉えた画像や映像がクラウドへ送られることも,どこかに保存されることもない。さらに,レンズを物理的にふさぐカバーまで付属している。リビングにカメラを置くことへの抵抗を,仕様と付属品の両方で潰しにきているわけだ。アメリカではkidSAFE+認証を取得し,COPPAにも準拠済みである。
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ビジネスモデルは単純だ。アメリカでの参考価格は本体299ドル(約4万6600円)で,5本のゲームが付いてくる。この5本はサブスクリプションに加入しなくても遊び続けられる。全カタログを開放する「Play Pass」は四半期49ドル(約7600円),年間89ドル(約1万3900円)で,対象ゲームは60本以上。広告もアプリ内課金もない。また,ゲームの単品販売もないそうだ。
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プラットフォームは閉じており,Nex自身が唯一のパブリッシャとしてすべてのコンテンツを管理するかたちで,ユーザーがサードパーティのアプリを個別にインストールすることはできない。ゲーム内に広告も,追加の課金もなく,オープンなマッチメイキングや,プレイヤー同士が映像/音声/テキストでやりとりする仕組みもないという。
実績についてはカン氏から説明があった。アメリカの取り扱い店舗数は,2025年に5000を超え,2026年には7000店以上になる見込みだという。取扱先はTarget,Walmart,Best Buy,Sam's Club,Costco,Amazonなど。
店舗には実際に遊べるデモ機を置いており,2025年12月のTargetだけでデモのプレイ回数が100万回に達したそうだ。利用者評価は,どの販路でも平均4.5前後で推移しているという。
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そして2025年11月,同社はアメリカのコンソールハードウェア販売台数でXboxを上回り,Nintendo Switch 2とPlayStation 5に次ぐ3位に入った(関連記事)。新しいブランドの家庭用ゲーム機がトップ3に食い込んだのは20年以上ぶりだったそうだ。
発売当初のラインナップは19本だったが,現在は60本以上。毎週,新作とアップデートを出し続けている。開発体制は自社スタジオ4つに加え,日本を含む世界15のスタジオと組む形だ。
国際展開は2026年6月のイギリスとアイルランドから始まった。カン氏によれば,この2か国は社内予測を上回る売れ行きだという。2026年第4四半期にはドイツに進出し,2027年に日本へ来る。その次は欧州,中東,アフリカ,オーストラリアとニュージーランド,そのほかのアジア太平洋地域と続き,2028年までに中国を除く主要なゲーム市場をすべて押さえる計画である。
ちなみにリー氏は,経営者としてのロールモデルとして,スティーブ・ジョブズ氏と岩田 聡氏の2人を挙げた。ジョブズ氏からは大きく構想しながら細部にこだわる姿勢を,岩田氏からはゲームは万人のものだという考え方を学んだという。
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説明のあと,実機に触れた。最初に遊んだのはリズムゲームの「Starri」で,画面に矢印の方向に腕を振る。リー氏と並んで立ち,2人同時に認識された状態でプレイした。
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驚いたのは反応の素直さだ。コントローラを持たないぶん,入力が曖昧になるのではないかと身構えていたのだが,腕を振れば振ったぶんだけ画面が返してくる。
自分のイメージとキャラクターの動きに若干のラグはあったが,数分遊んでいると慣れてくれるレベルだ。
また,カタログの幅も見せてもらった。パーティゲーム,アニメ調のスポーツゲーム,「アバター 伝説の少年アン」やCare Bears,Goosebumpsといったライセンス作品,Barbieのダンスゲーム。ボウリング,アーチェリー,バスケットボールといったスポーツもの。未就学児向けには「ブルーイ」やCookie Monster,「ペッパピッグ」が揃う。
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大人向けにはZumbaのフィットネス,パズル,ペット育成,脳トレの類まである。開発中のタイトルを試せるNex Labという場所や,瞑想用のコンテンツまで用意されていた。
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Nex経営陣が考える日本での勝ち筋
4Gamer:
アメリカでかなり売れているという話でしたが,実際にはどの層に響いているのでしょうか。
カン氏:
現時点でのターゲットは家族です。小さなお子さんのいる家庭が主な購入層になります。ほかの製品と違うのは,買ってくださるのが母親や祖父母だという点ですね。家族にとって健康的なものを選びたい,という動機で手に取っていただいています。
ただ,成長するにつれて家族のほかのメンバーにも使い道が広がってきました。たとえばスポーツゲームの「Home Run Heroes」は10代の男の子が遊びたがりますし,「Starri」のBTS版は若い女性から年配の女性まで遊んでくださる。私たちの仕事は,家族のなかにもっと多くの使い道を見つけることです。1人でも遊べますが,一緒のほうが楽しい。そういう製品です。
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4Gamer:
アメリカでの売り場はどこでしょうか。おもちゃ売り場なのか,ゲーム売り場なのか。
カン氏:
小売店ではすべてゲーム機のコーナーです。ゲーム売り場へ行くと,Switchがあって,PlayStationがあって,XBOXがあり,そこにNex Playgroundも並んでいます。
4Gamer:
本体を買えばサブスクリプションを払わなくても5本のゲームは遊び続けられる,という理解でいいですか。
カン氏:
そのとおりです。最初の5本はそのまま遊べます。
ただ,購入された方のサブスクリプション加入率は非常に高いんですよ。本当に,非常に高い。ほとんどの方が加入されますね。
山本氏:
ええ,加入率はびっくりするぐらい高いです。
4Gamer:
サブスクリプションというとNetflixのようなものを連想しますが,映像の配信サービスだと,気がつくと配信が終わっている作品がありますよ。Nex Playgroundではどうでしょう。配信期間が決まっているものがありますか。
リー氏:
現時点で,プラットフォームから外れたゲームの例はありません。将来はあるかもしれませんが,すべてのゲームを残せるよう最大限努力します。
というのも,今あるゲームはすべてNex Playground専用に開発されたものだからです。映画のように,ここから外れてもよそで観られる,という性質のものではない。全部がこのプラットフォームのために作られています。
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山本氏:
ですから基本的には,ずっと遊べる状態です。今のところ,何かを終了させる計画はありません。
4Gamer:
では,ゲームを単体で販売する可能性はありますか。
リー氏:
ないですね。私たちが集中しているのは,Play Passを,家族がゲームに使うお金として最良のものにすることです。考えるまでもなく加入したくなるくらい,価値があって役に立つものにしたい。そこに力を注いでいます。
4Gamer:
今の話を聞いていると,ゲームを作っているデベロッパ側がそこまで儲からないのではないか,という点が気になります。単体で売ることもできず,あとからのアイテム課金もない。細かいビジネスモデルは説明できないと思いますが,その懸念を解消するような仕組みはありますか。
カン氏:
あります。私たちのプラットフォームには,限られた本数のゲームしかありません。ほかのアプリストアのように何千本もあるわけではない。そのごく少数のゲームに対してレベニューシェアのモデルにしていますから,プラットフォーム上で成功したゲームのデベロッパは,相応のロイヤリティを得ることになります。
山本氏:
売れることによって,というより,遊ばれた割合に応じてロイヤリティが入る仕組みですね。
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カン氏:
今は当社が成長している時期なので,デベロッパのほうから,昔のKinect向けタイトルをこのプラットフォームに載せられないか,という相談が来ています。たとえば,セガのソニックのように。
デベロッパのコミュニティは,私たちのプラットフォームに対してどんどん前向きになってきています。
山本氏:
ソニックについてはセガさんの社内で作っていただいたものです。ほかのデベロッパさんからの持ち込みもかなりあり,コミュニティが広がっている感じがあります。
4Gamer:
開発会社からのフィードバックは届いていますか。
リー氏:
デベロッパ支援のチームを作って,ゲームをプラットフォームに載せるところをサポートしています。基盤にはUnityを使っていますので,Unityでゲームを作っていただきます。そのうえで,カメラやモーショントラッカーとやりとりするためのAPIを用意しています。ですから,移植や新規開発はかなり容易です。
山本氏:
SDKにあたるもので,私たちはMDK――Motion Developer Kitと呼んでいます。デベロッパとの関係を担当するチームも置いていますので,環境としては一通り整っている状態です。
4Gamer:
アメリカと日本とでは家庭環境がかなり違います。そして過去を振り返ると,日本のゲームはリビングルームを取ろうとして,取れたと思ったらまた引いて,また取って,ということを繰り返してきました。WiiやKinectがそうですし,Switchのリングフィットもそれなりに売れましたが落ち着いてしまいました。日本でもう一度リビングにゲームが入っていくための,継続的に伸ばしていく勝ち筋のようなものは見えていますか。
リー氏:
大きな差別化要因が3つあると考えています。
1つめは技術が違うということ。よりシンプルなカメラと,ごく単純なデバイスの上で動くAIです。技術が進化して,すべてがデバイス上で動くソフトウェアになりました。これが1つめです。
2つめは,持続可能なサブスクリプションのモデルを持っていること。インストールベースがあり,加入者から収入が入ってくる。その収入でゲームを作り続け,サブスクリプションをより良い製品にしていけます。
3つめは,家族に奉仕することへ本気で集中していることです。一つひとつの判断を,すべて家族のためにくだしています。だからこそ,このプラットフォームでは信頼と安全性を最優先にしているのです。
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カン氏:
長期的な話を1つ付け加えると,勝ち筋は常に,より良いコンテンツ,より良いゲームを作り続けることにあります。人と家族を一緒にするようなゲームを作り,機能を増やし,奥行きを足していく。長い目で見れば,家族のより多くのメンバーに向けたコンテンツを作っていくことですが,あくまで家族のためにです。それが長期的な勝ち筋だと考えています。
リー氏:
それから私たちは持続可能な状態にあります。つまり,すでに黒字です。ですから毎年,製品をより良くするための投資を続けられるんです。
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カン氏:
発売時のゲームは19本でした。それが今は60本以上あって,ゲームの質も上がり続けています。ですからサブスクリプションは,家族にとって,より価値のあるものになっていきます。
4Gamer:
学びを大事にしているという話がありましたが,どのような学びを想定しているのでしょうか。
カン氏:
私たちはアクティブラーニングを信じています。体を動かすことと学ぶことを同時にやる,ということですね。「ドーラといっしょに大冒険」ではごく軽いスペイン語を教えていますし,セサミストリートのコンテンツはすべて英語学習用です。
学習コンテンツは今後も足していきます。楽しみながら学ぶというのは,このプラットフォームの新しい使い道の1つです。
4Gamer:
確かに,教育寄りにしておくと親が買いやすくなるように思います。「これを遊び続けると英語ができるようになる」「ゲームではあるけれどそれだけではない」という打ち出し方は,かなり強く響きそうです。祖父母も買い与えやすくなりますし。
カン氏:
まったく同意します。ちょうど韓国に行ってきたのですが,同じ話をしました。アジア太平洋市場では,学習はとくに重要なカテゴリになると思います。
4Gamer:
アメリカの次がイギリスとアイルランドで,ドイツが続き,日本となります。日本が少し遅いように感じたのですが,準備の期間が必要だったということでしょうか。
カン氏:
そのとおりです。日本市場のために,日本のIPを使ったオリジナルのゲームをたくさん作っています。完全にローカライズして,日本市場のための体験を用意したい。それが主な理由です。
実は日本のIPで,10本ほどのゲームを進めています。
リー氏:
私たちはどの市場にも,愛と敬意を持って入っていきます。そして,製品を日本へ持ち込むだけではなく,日本を製品のなかへ取り込んで,グローバルにより良い製品にしたいと考えています。
山本氏:
日本に参入するというのは,日本のお客様やご家族に喜んでいただくことだけではありません。それももちろん非常に重要なのですが,日本のタイトルや開発会社さんとのコラボレーションには,本当にグローバルな可能性が見えています。私がこれまでずっとやってきたことを,この会社でもやりたい。素晴らしいものを作って,それを世界にも届けたい。それも当社が日本に参入する理由の1つです。
4Gamer:
では最後に,日本の読者へメッセージをお願いします。
リー氏:
繰り返しになりますが,愛と敬意を持ってこの市場に入りたい。そして日本市場のために素晴らしいゲームを作りたいと思っています。日本のために作られた製品だと感じてもらえるようにしたい。それが私たちのやりたいことです。
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山本氏:
ゲームの原点に帰って,本当に面白いものを,という感じがしています。保護者のかたに喜んでいただくことがメインではあるのですが,すべてのかたに楽しんでいただける,原点に戻って面白いものが作れている手応えがあります。それを本当にお届けしたいと思っています。
4Gamer:
ありがとうございました。















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