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イベントでは,インディーゲーム市場の現在地を確認したうえで,小さく始めたタイトルがどのように世界へ広がっていくのか,そして日本発のタイトルが世界市場を狙うために何が必要なのかについて,投資家と開発現場の双方から意見が交わされた。登壇したのは,以下の3名だ。
Re entertainment 代表 中山淳雄氏(進行)
MIXI Global Investments 取締役 投資責任者 占部友春氏(パネリスト)
Skeleton Crew Studio 代表取締役/CEO 村上雅彦氏(パネリスト)
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冒頭では,中山氏がインディーゲームを含むゲーム業界の現状を説明した。
それによれば,日本のコンテンツ輸出額はこの15年間で1兆円から6兆円に成長しており,コンテンツは自動車に次ぐ規模の輸出品となっている。そのため政府は,コンテンツ輸出──すなわちエンタメ産業を伸ばしていく方針を採っている。
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日本のコンテンツ輸出の主力を担っているのは,コンシューマゲームとアニメだ。
このセッションでいうコンシューマゲームは,売り切りではなく,ダウンロード販売,DLC,オンラインマルチプレイ,そして継続的な運営型サービスなどの領域を指す。
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海外のコンシューマゲーム市場は,2016年には1.3兆円規模だったが,2023年には3.5兆円規模となり,急成長を見せている。この傾向は,日本のコンテンツ輸出にも当然影響を与えている。
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海外における広義のアニメ市場はこの15年間で2兆円を超える規模となり,ゲーム市場よりも成長の勢いがある。
一方,日本のマンガ市場は,それ以前は緩やかに落ちていたがコロナ禍の影響で伸び始め,7000億円規模に。紙の雑誌や単行本は減っているが,電子書籍のおかげで全体が上がっている状況だ。
海外のマンガ市場は,アメリカとフランスを中心に伸びているとのこと。
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ここで改めて日本のゲーム市場を見ると,2025年にはPCゲームの市場規模がコンシューマゲームを上回った。中山氏は,この理由について2020年代に入ってからSteamを中心にPC向けインディーゲームが活性化したことを挙げた。
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いま,世界のゲームシーンで何が起きているのか〜インディーゲーム市場の現在地〜
以上のようなゲーム市場の状況を前提にしたうえで,トークが始まった。
インディーゲーム支援プログラム「LVL Zero」を手がける占部氏は,とくにここ数年は,海外パブリッシャがインディーゲームデベロッパに投資をしたり買収したりするなどアクティブに動いており,ヒット作も目立つようになったため,ゲーム業界全体がインディーゲームに注目していると指摘した。
なお占部氏は,現在のMIXIが会社として本格的にインディーゲームに取り組んでいるわけではなく,あくまでも投資部門がクリエイター支援や業界貢献のためにプログラムを提供していることも付け加えた。
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村上氏は,2013年にインディーゲームイベントのBitsummitがスタートした当時,各プラットフォームがゲームのダウンロード配信に注力していたことが,現在のインディーゲームシーンにつながっていると指摘する。
デジタル化が進んだことで流通のハードルが下がり,個人や小規模のチームでも在庫を抱えることなく,グローバルに自分たちのゲームを売ることができるようになったわけだ。
インディーゲームが注目されている現状について村上氏は,優秀なクリエイターや良質なゲームが存在することの証明であり,またそれを見て「自分も挑戦してみよう」と考える人が集まってくると話す。
その一方,インディーゲームの主戦場となるSteamを日本で利用している人の数は,国内ゲーム人口の1%以下であることも指摘した。
Steamの売上は,コロナ禍直後の2020年には1兆円だったものが,2026年には3兆円に急成長している。その理由を占部氏は,最近コンシューマ機の価格が高騰した結果,以前のように一家に1台ということがなくなり,世界の多くの国や地域でPCのほうがゲームのプラットフォームとして身近になっていると説明した。
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話題は,LVL Zeroを展開しているインドのゲーム事情におよんだ。
占部氏によれば,ゲームPCが高価であること,コンシューマ機が流通していない国や地域があることなどの理由から,インドではモバイルゲームが主流だという。
とくにコロナ禍の最中に「PUBG mobile」が大ヒットし,現在でもインド向けにリニューアルされた「BATTLEGROUNDS MOBILE INDIA」が圧倒的な市場シェアを誇っている。同作は,eスポーツシーンでも盛り上がっているそうだ。
現在インド政府は「AVGC」(アニメ,ビジュアル効果,ゲーム,コミック)に注力しており,リアルマネーのやり取りがないゲームには,さまざまな支援策が提供されている。
小さく始めたゲームは,どうやってグローバルメジャーになるのか〜AI時代のゲーム成功方程式〜
「天穂のサクナヒメ」「8番出口」「NEEDY GIRL OVERDOSE」など,日本のインディーゲームが世界で大きな人気を獲得しているが,その理由を村上氏は,「ニッチなところを攻めている」からだと語る。
ニッチであるゆえに,刺さる人にとっては大好物であり,しっかりしたファン層が形成される。彼らが広告塔として機能し,知り合いを通じて大きく広がっていくというわけだ。
海外の人たちに向けてニッチなゲームの面白さを伝えるのは難しく,ファンを通じて楽しみ方を伝えたりオススメしたりする方法が効果的とのこと。
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ファンになってもらうためには,ゲームとしてのクオリティの高さは最低限必要になる。
刺さる人たちにゲームを届けるためには,自分たちのゲームにどういう特徴があり,誰が求めているのか,どういったルートを使って情報を伝えるのが効果的かといったことも把握しておくべきだ。
世間で話題になったとき──いわゆるバズったときに,どういった対応をするのかも重要になる。
バズったタイミングでセールを始める,あるいは新たなPVを配信するなど,初めてゲームの存在を知った人が興味を持つような準備も視野に入れておいたほうがいいとのこと。
とくにゲームは在庫の保管場所が要らず,腐ることもないので,そうした準備がやりやすい。
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占部氏は,LVL Zeroが支援するインディーゲームの選考プロセスにおいて,2つの評価基準があると述べる。
1つはゲームとしての純粋な楽しさや面白さ,魅力があるかどうか。海外展開という側面からは,言語的な壁が少ないほうが望ましい。
もう1つはLVL Zeroという支援プログラムから何を学ぶか,それに熱意を持って取り組めるかといった今後の成長につながる部分だ。これは,どんなクリエイターであっても最初からヒット作を出すケースはほとんどなく,2作目,3作目と経験を積み重ねていく過程を支援する必要があるからだ。そのため,面談を重視しているという。
日本のインディーゲームが,世界市場を狙うために大切なこと〜資金・仲間・そしてSteamの次の市場は〜
日本のインディーゲームが世界に進出するにあたって必要なこととして村上氏は,「しっかりとコミュニティに入ること」を挙げる。コミュニティではゲーム開発に関する情報共有ができることはもちろん,人材の紹介や,ゲームの面白さ・魅力の拡散といった支援も受けられるからだ。
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グローバルの観点でいえば,Discordに自分たちのチームやゲームのチャンネルを作り,コミュニティマネージャーを置いてファンとのコミュニケーションの場を設けるのが効果的とのこと。また,開発者コミュニティに入って,互いに情報を共有することも有効だ。
占部氏も,Discordのチャンネルを作ることで,ファンに向けて開発の進捗を報告したり,テストプレイをしてもらったり,アンケートに答えてもらったりといったことがグローバルにやりやすくなるので,チャレンジすべきだと村上氏に同意していた。
AIを用いたゲーム開発については,村上氏によるとまったく使わない人もいれば,作りたいものを実現するために使う人もいるなど,人それぞれだという。
村上氏自身は,AIを使うことで本当に作りたいものや良いものができたり,時間を短縮できたりするのであればいいのではないかと捉えている。
ゲームをすべてAIで作った事例はほとんどないが,ベンチャーキャピタルの投資対象としては盛り上がっているテーマの1つだと占部氏は述べる。
AIにより,たとえば世界が変化し続けるオープンワールドや能動的なNPCとの協力プレイ,リッチな世界観などが実現できれば,プレイしたいと思う人も増えるのではないかと話していた。
一方で,それまで自分がゲーム開発で担ってきた部分をAIに代替されることを恐れる人もいる。それに対して村上氏は,とくに企業の場合,大規模ゲームが完成しても開発コストを回収できない状況がある以上,ゲーム開発の現場も変わらざるを得ず,うまく付き合っていく必要があると語った。
さらに占部氏は,日本では作家の文化が非常に強いことを挙げ,しっかりした世界観を持つ小説やライトノベルなどの作者が,AIを活用して自身のIPをゲーム化できると面白いのではないかという展望を披露した。
今後グローバルに進出していきたいという日本のクリエイターへのアドバイスを求められた村上氏は,「日本人であることを大事にしてほしい」と回答。イタリアに行ったら現地の料理をそのまま味わいたいと思うように,日本のゲームには日本らしさが求められていると続けた。
また,言葉が分からなくとも楽しめる直感的な部分も,ゲームとしては重要であると話していた。
占部氏は,資金調達環境が改善され,AAタイトルのインディーゲームに5000万円や1億円といった多額の投資をする試みが日本でも増えてほしいと語る。そうなれば,ヒット作が生まれる可能性も必然的に増えていく。そのため,占部氏自身も投資家として仕組みや成功事例を作っていきたいと意気込みを見せた。

















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